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管制室へ急いだ。
晴太が日輪を探している最中にたまたま管制室らしき場所を見たらしい。一か八かで向かってみた。
「管制室に行かせるな!!!」
目的地に近づくほど、敵の数が増えているということは晴太の判断は正しかった。
神楽は右腕が負傷しているにも限らず、三人同時に相手する。
死角になったところは、薙刀を持った喜杏と新八がカバーしながら進めば、もう目の先は管制室だった。
「喜杏!!!足止めするから早く行くネ!!!」
「うんっ……」
神楽と新八は入口に立ち、迫ってくる敵を倒していく。
管制室の中は何年も使われていないのが分かるほど、埃だらけだった。
奥のコントロールパネルに晴太が触れるとパッ、と明かりがついた。
難しいことは分からない。
だが、開封という文字が浮かび上がり、晴太は躊躇なく押した。
急げ、急げ。
神楽達の為にも、日輪の為にも、銀時達の為にも。
すると、パネルが開き、中からレバーが上がってきた。
これを引けば、天井が開かれ太陽がさす。
「せーの……っ!!!!」
晴太がそのレバーを引いてみるがびくともしなかった。
長年使われていなかったからだろう。
喜杏も晴太と共にレバーを引っ張った。
「……せーのっ!!!」
力いっぱい引っ張る。
お願い。動いて。
「ぐっ……」
後ろで新八達の声が聞こえた。
危険を顧みず吉原まで来てくれた銀さん達、残って敵を引き付けてくれている母ちゃん、おいらを矯正してくれたお登勢さん達、皆がおいらの背中を叩いてくれた。
こんな所で負けてたまるか。
おいら達はこんな鳥籠から外に飛び立つんだっ!!!!
「「いけぇぇぇぇぇ!!!!!」」
ガタンっ、と音が立った。
レバーが思いっきり下がりその反動で喜杏と晴太は後ろに倒れてしまう。
起き上がろうと腕を着いた瞬間、顔に一筋の光が差し始めた。
それはどんどん太く、そして容赦なく喜杏達を驚かせる。
戦っていた者達も動きを止め、光に目が捕らわれた。
「太陽だ」
誰かが呟いた。
暖かな光が吉原全体を包み込み、皆空を見上げた。
雲一つない青空にお天道様。
あぁ、太陽ってあんなに眩しい物だっただろうか。
晴太は潤み始めた視界の中、大きな衝撃を体に受けた。
「やったっ!!!やったよ晴太君、喜杏ちゃんっ!!!」
「よくやったネ二人共!!!」
「新にぃ、かぐらちゃんっ……」
「良かった……」
抱きしめられたのだ。漸く晴太の目から涙が零れだした。
今度は悔し涙ではない。
そして、どこかで勝利の音が響いた。
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月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます!遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません!続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます!一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます!成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります!よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2023年9月4日 0時