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神楽の力が一瞬緩んだと思った矢先、浮遊感が突如新八達を襲った。

足場であった屋根が崩れた。恐らく神楽の攻撃で半壊に近い状態だったのだろう。
どこも掴むことが出来ないまま、神楽達は落ちていく。

「……さてここでまた選択肢だ」

「っ!!!」

どん、と力強く背中を押された。新八も神楽も阿伏兎に押され、屋根にぶつかった。
受け身を取れなかったが、慌てて新八と下を覗き込んだ。

「人生は選択肢の連続。


お前さん達の甘い選択でどこまでやっていけるかどうか」

「おまっ」



「言っただろう。俺は共食いは嫌いなんだ」

阿伏兎の姿は闇の中に消えていった。
どういうつもりか、私達三人を助けてくれたのだ。

「し……んぱち、ききょ……」

弱弱しい声に新八達は振り返った。
流血は酷いが、正気に戻った神楽である。新八達は安心から目が潤みそうなのを我慢し、神楽の傍に寄った。

「私……負けてしまったアル」

喜杏と新八が危ない目にあって、護ることが出来ない自分を実感した挙句、夜兎の血に負けてしまった。
目の前が真っ暗になり、耳元で殺せと囁く声。それは紛れもない自分自身。
阿伏兎に偉そうなことを言ってこの有様。
兄貴と変わらない自分に嫌気がさした。

「そんなことないよ」

新八が優しく神楽に言った。

「神楽ちゃん僕らを護ってくれたじゃないか。僕らを護ろうと戦ってくれたじゃないか」

暴走してしまった根源は喜杏達を護りたいという思いがあったからだ。
喜杏も新八もその思いにはしっかりと気付いている。

「……ごめん、僕が弱いばかりに」

俯きながら呟く新八に喜杏は口を開いた。

「私も……ずっと足、引っ張って」

今までにない強大な壁であった。
だから余計に身に染みてしまった。
弱い自分に、何もできない自分に気付いてしまった。敵に情けを掛けられたのか、最終的には助けられてしまった。

あの戦いの最中、脳裏をずっと掠めていたのは“たられば”の話。
悔しさのあまり、手を強く握った。

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月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます!遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません!続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます!一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます!成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります!よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見ソウ | 作成日時:2023年9月4日 0時

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