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「……火種を寄越せ」
銀時の言葉に漸く月詠は振り向いた。
「おめぇと一緒になくなられちゃ困るんだよ。煙玉が使えなくなるだろ」
残り一つの煙玉が銀時の片手にあった。月詠はそれを横目で見ると、咥えていた煙管を手に持った。
「……最後になるやもしれん。一服」
「駄目だ。さっさと寄越せ」
何を言っても無駄だと思った月詠は煙管と巾着を投げ渡した。
「銀さん本当に置いていくつもりですか!!!」
新八達も察したのだ。月詠の行動の意味を。
「そんなに吸いたきゃ戻ってこい」
受け取った煙管と巾着を銀時は懐にしまった。
「さっさと戻ってこねぇとしゃぶりつくすからな」
月詠は向けられた背中を一瞥すると、無意識に口元が緩んだ。
既に銀時は曲がり角へと足を向けている。
「ぬしら早く行け」
迷いのある子供達の背も押したらねば。
あの男に手入れを欠かしたことがない煙管を取られたままなど癪である。しかし、一度固まった覚悟はそう簡単に崩れない。
「何度も言わせるな。わっちが身命を賭して護るは日輪のみ。
ぬしら如きを護る為に捨てる命など持ち合わせておらんわ」
月詠の言葉に喜杏達はじっと見つめた。
綺麗な横顔から放たれた視線が喜杏達と交わる。
「……早く行け」
その言葉を最後に喜杏達は銀時を追いかける。
まだ不安はあるがここで足を止めるのは月詠に対して無礼だ。
子供達の足音が消え、月詠は苦無を構えた。
_______そう、わっちは日輪を命を賭して護る番人。
わっちの
吉原の
吉原に光を導く
晴太が銀時らとこの吉原に訪れた時、こんな未来がやってくるとは誰も思わなかった。
日輪の命で晴太を逃がす。あの子がこの先、地上で成長してくれれば。元気な姿でいてくれれば。
日輪の願いはわっちの願いそのもの。
だが状況が一変した。予想をつかない方にへと。
ならば、わっちはもう捕らわれない。
死ぬる覚悟は出来た。
「どこからなりとも来るがいい。何人たりとこれより先には通さぬぞ」
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月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます!遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません!続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます!一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます!成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります!よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2023年9月4日 0時