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水浴びなどはしていたそうだが、汚れていた髪や体はたまによって綺麗になった。
着物も新調し、晴太はお登勢の言う通り真面目に働き始めた。
開店前の掃除から買い出し、何から何まで晴太にとって初めてのことばかりであった。
しかし、容量もよく、手先も器用、少し心の余裕が出てきたからか、笑みを見せることが増えてきた。今ではお客さんからも大層好かれるほどにまで至った。
新八達も心配でここ最近ではスナックお登勢にお邪魔して様子を見ていたが、必要なかったようだ。
晴太が元気よく行ってきます!と言って外に出て行ってから数分。
たまも店前の掃き掃除、新八達もいない為、お登勢と二人っきりになると、お登勢は口を開いた。
「何か気になることでもあんのかい、喜杏」
いきなりのことに喜杏は驚いてしまった。
「え……」
「晴太が来てからずっと難しい顔してるじゃないか」
お登勢の言葉に喜杏は黙り込む。
お登勢は空になっていた喜杏のグラスを取り、新しく水を入れ直した。
目の前に置かれた水をじっと見る。置かれた振動でゆらゆらと揺れている水はゆっくりと治まった。
言いたくないなら別に良い。お登勢はそう言ってくれた。
いつものようにグラスを磨いているお登勢を盗み見る。
今抱えている思いを伝えるべきではないと頭では分かっていても、誰かに聞いてほしかった。喜杏は静かに口を開いた。
「……う、羨ましいってお、もって」
「羨ましい?」
たらり、と汗が垂れるのを感じた。
あ、やっぱり辞めとけばよかった。軽蔑されるかもしれない。その恐怖を少し抱えながら、喜杏は再度呟いた。
「……孤児だったのに、母親に……助けられた、とか。居場所が……分かった、とか。
なんか、しょうもないことばかり……晴太を見てると考え、ちゃって」
「……」
「い、いな……って思っちゃって」
支離滅裂となった喜杏の言葉をお登勢は遮ることなく耳を澄ました。
話し終えると少しの沈黙さえ怖く感じてしまう。
しょうもない嫉妬心だ。
似たような境遇で、私にない物も持っている晴太に嫉妬した。
愛嬌のある晴太はすぐに馴染んだ。人と話すことに抵抗のない晴太を見ていて、気になってしまった。
本当は誰に言うつもりもなかった。新八達は本気で晴太を心配していたから。
だから、私は晴太を見ているだけで話すこともなく勝手に壁を作って距離を置いてしまった。
みっともない嫉妬心を抱いている自分にも気持ち悪さを感じ、下唇を噛む。
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月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます！遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (
レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません！続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます！一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます！成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります！よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見ソウ | 作成日時：2023年9月4日 0時
