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パイプにいた敵の気配が消え、土煙も晴れていった。
月詠は縄から手を外す。
勢いよく屋根に叩きつけられる。
銀時は落ちている最中に神楽の着物を掴み、足で喜杏を捕まえた。
新八がぎりぎり銀時の手を掴み、月詠が新八の手を掴んだ瞬間、縄を巻いた苦無を細い管に巻きつけ、奴らの気配が消えるまでぶら下がっていたのだ。
「神楽っ……」
「神楽しっかりしろ!!!」
痛む体を起こし、喜杏と銀時は神楽の名を呼んだ。
大丈夫。傷はあるが、血が出ているわけでもなく気絶しているだけだった。頑丈な体が神楽を護ってくれたのだ。
喜杏はそっと手を握った。
晴太を連れて行ってしまった奴らは一体何なのか。
月詠に一つ心当たりがあった。
そう、夜兎が吉原にいるということはつまり。
「恐らく奴ら、“春雨”じゃ」
その言葉に喜杏達は目を見開いた。
宇宙海賊春雨。
売り飛ばし、関わった際に神楽達を攫い、銀時を傷つけたり、紅桜の件が頭に浮かぶ。
「でもどうして宇宙海賊春雨が吉原に……」
新八の疑問は最もである。
「……吉原の遊女達は親に売られた者も多いが、その多くは人身売買によって流れてきた者」
その利権に深く関わっているのが宇宙海賊春雨だった。
「いや、関わるどころか吉原の楼主、“夜王”鳳仙こそ
春雨で幹部を務めていた男」
“夜王”鳳仙
奴がそう呼ばれるのは吉原の主だからではない。
光に嫌われた一族、夜を生き永らえる者。
それを統べる者、夜を統べる者。
夜王鳳仙とは、“夜兎の王”と呼ばれた男のことであった。
すぐに思い浮かんだのは、神楽の父である星海坊主のことだった。
夜王鳳仙は星海坊主と並び称される程の男だそうだ。
つまり、喜杏達はその夜王の地に乗り込み、喧嘩をふっかけてしまったのだ。
その事実に喜杏は汗が流れるのを感じた。
すると、手を握っていた神楽の手に反応があった。
「あ、っ、神楽……」
「ぅ、大丈、夫ネ」
安心させる為に神楽は喜杏に笑みを見せるが弱弱しかった。
神楽は掠れた声で銀時の名を呼んだ。
「銀ちゃん……本当にやばいのはそいつじゃない、ネ」
見間違いなんかではない。
神楽の目にははっきりと映った。
「息子が……っいるアル、その
私の……バカ兄貴が」
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月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます!遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません!続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます!一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます!成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります!よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2023年9月4日 0時