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「銀さん?それは本当にプレゼントと言えるもの?」
「銀ちゃん、雪被りすぎて頭おかしくなったアルか?」
「そんな信用ねぇのか、てめぇら!!!もうあげなーい!そんなこと言うやつにはあげませぇーん!!!」
お妙が一番酷い言い様である。
ごそりと出されたのはラッピングされた袋だった。
銀時はそれを喜杏へと投げた。
ゆっくりと山なりを描くプレゼントを喜杏は受け止めた。
新八も神楽も喜杏に寄り添い、開けようと口にする。
お妙は空気を読んでか空いたお皿を台所へと持っていった。
リボンを解いて中を見てみると、そこに入っていたのは、黒と紫のストライプになったマフラー。そして、黒一色の手袋だった。
「銀さん、これ手作りですか?」
「銀ちゃん手先は器用だからナ」
「お前らいい加減にしろよ……」
銀時は数日前からずっとこれを作っていた。
本を買い、毎日少しずつ作っていたのだが、最後の最後で毛糸が足りなくなってしまい、朝っぱらから買いに行ったのだ。
珍しく銀時は、喜杏の誕生日も特に何もしてやれなかったことを少々悔いていた。
その結果、お妙から喜杏が手袋とマフラーを借りている、と言われ、自分らしくない行動をしたのだった。
「まぁ、市販がいいならそっち使えばいいし?別に使って欲しいなんて言ってないし?お前の好きなようにしたらいいと思ってるから」
「早口アル」
「珍しく照れてるね」
誕生日とか特に気にしたことがなく、銀時が作ったケーキで祝ってくれただけでも普通に嬉しかった。
プレゼントとか別に気にしてなかったのに。
喜杏は、手元にあるマフラーと手袋を掴み、顔を上げた。
「ありがとう、銀ちゃん。使わせて頂きます……」
珍しく微笑んだ喜杏に一同静かになると、喜杏は途端に焦り出す。
変なこと言ってしまっただろうか。
すると、神楽が抱きついてきた。
「じゃあ、明日はそれつけて定春の散歩に行くアル!」
「うん」
料理や室内のおかげで体は既に温まっているが、銀時の贈り物のおかげで更に心が暖まっているような気がした。
温かいを通り越して、"幸せ"だ。
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月見ソウ(プロフ) - 真代さん» 真代さんお久しぶりです!祝ってくださってありがとうございます。柳生篇はギャグも多いのに考えさせられるお話ですよね。それを表現出来てるか不安ですが、楽しんで貰えたら嬉しいです。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2021年5月6日 12時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
真代(プロフ) - ください! (2021年5月6日 3時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
真代(プロフ) - 「貴方の傍に」シリーズ、一周年おめでとうございます!!物語は現在、柳生篇ですね。守りたいもの、取り返したいもののために、強敵と戦う話ですが、この戦いを通して、どう変わっていくのか、また、主人公はどうなっていくのか、楽しみにしてます。連載頑張って (2021年5月6日 3時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - みうしさん» コメントありがとうございます!1年も書いときながらまだ4巻なんで、申し訳ないです。嬉しく思ってくれること、本当にありがとうございます。今のうちに話を更新していきたいと思ってますのでよろしくお願いします。 (2021年4月28日 17時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
みうし(プロフ) - 一周年おめでとうございます!一年間も書き続けてくださっている月見ソウ様には感謝の気持ちでいっぱいです。この作品が更新される度に嬉しくなっています…wこれからの話の展開も楽しみです。更新陰ながら応援しております! (2021年4月28日 0時) (レス) id: f1ae5cae79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2020年12月11日 23時