貴方の傍に-4-【銀魂】

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みち子は立ち上がり、絵を近くで見ようと歩み寄った。

「贈り物？なにそれ」

「旦那さんは浮気なんかしてませんでした。
これを奥さんに内緒で作る為にコソコソやってたようです」

先程旦那から聞いた内容と同じである。
みち子はサプライズで贈り物を作ってくれていた旦那の顔を頭に浮かべながら、右下に書かれてる名前を見た。

"まち子"。
何度見てもそう花びらで綴られている。

盛大な間違いである。

「まち子って誰だゴラァァァ!!!
馬鹿にするのも大概にしろぉぉぉ!!!!!!」

これは酷い。
似顔絵は恐らく、神楽達が何かやらかし、あぁなったんだろう。
挙句の果てに名前まで間違えてしまった。

みち子は大股で万事屋を雨の中飛び出した。

「違うネ。途中でまち子かみち子か迷っただけアル」

「その迷いが酷い結果を招いてるけど……」

「あぁ、どうすんだよ。あのままじゃ金払われねぇぞ」

「で、でも地面をよく見てください！僕達頑張ったんですよ！」

新八の言う通り、地面をよく見ると花びらでまち子と描かれていた。
一つだけではない。間隔を開けながら幾つも描かれている。

いや、間違った名前を綴られていても。

「途中で迷ったんですよ！だから、途中からはみち子になってるはずです……ｸｼｭﾝ!!!」

「そうヨ!!!これもサプライズアル……ﾌﾞｴｯｸｼｮﾝ!!!」

「「……」」




数日後、依頼料を手にしたみち子と旦那が万事屋へ訪れた。
ありがとう、と神楽達に伝えておいて欲しいと言われた喜杏は依頼料を机に置き、台所へ向かう。

お茶碗にお粥を三つ掬い、和室へと入る。

雨の中、走っていた神楽達は案の定風邪をひいた。
喜杏は和室ではなく寝心地の悪いソファで睡眠を取り、三人の看病をしているせいか少々機嫌が悪い。

「ありがとうだって。二人共」

「ほら、馬鹿じゃないアル。誰が馬鹿かもう一回言ってみるネ」

「結局名前どっちなんでしたっけ」

「まち子だかみち子だか訳分からなくなってきたアル」

「馬鹿だろ、お前らやっぱ馬鹿だろ。
まち子だよ、まち子」

「みち子だよ……」

早く食べて寝て治してください。
それ以上何も望まないから。

サプライズも程々に。

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