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八郎について伺うと、この店の立ち上げの時から一緒にやってきた狂死郎の親友だそうだ。
以前、狂死郎も別の店で働いていたが、独立しようとした際二人で始めた。
「彼も昔はホストだったんですが、今は裏方の仕事を……。
以前ちょっと整形で失敗しまして、それからは」
「ちょっと……?」
「どんな失敗したらあんなんなるんですか?
オペ室爆発したんですか?」
物騒な街でもあるから裏方だけでなく、用心棒的な事もしているそうだ。
この街でのし上がるには綺麗なままではいられない。
かぶき町No.1ホスト言われるようになるまで得たものより失ったものの方が多いと狂死郎は口にした。
「恥ずかしい話……、親に顔向け出来ない連中ばかりですよ」
華やかな場所にも裏では暗く重い雰囲気はあるものだ。
狂死郎の横顔は何処か寂しさを表していた。
「で、八郎に何か?」
「あ、えっとですね……」
ガシャン!!!!!!
新八が言葉を続けようとした瞬間、何かが倒れる音が室内に響き渡った。
音がした方に顔を向けると、八郎が何者かに更に殴られ、テーブルにぶつかった。
頭や口から血を流す八郎はピクリとも動かない。
「アニキ、おりましたわ。こいつが八郎です」
顔をよく見せようと仰向けにされ、一人の男の前までズルズルと足を引っ張られた。
「ほーかぃ。ほな、早うこっち連れて来てぇ店に迷惑かかるやん」
「八郎!!!」
狂死郎は見覚えのある顔にがたりと立ち上がる。
すると、客は手荷物を持ち、急いでこの場を離れた。先程まで賑やかな雰囲気だったこの場所は途端に冷たい空気が流れ出す。
銀時達は騒ぎに巻き込まれないように椅子の影にしゃがみこみ、様子を盗み見る。
赤い首巻きに七三分けされた髪型。顔には大きい傷跡が残っている男は椅子に堂々と座っていた。
「銀さん何ですかあの連中」
「ありゃ恐らく溝鼠組の黒駒の勝男」
「溝鼠組って、何?」
「おま、知らねぇのか」
「かぶき町のことは、特別詳しい訳じゃ……。
その、かぶき町にずっといたわけじゃない」
変なことは詳しいのに、とツッコミそうになる新八だった。
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月見ソウ(プロフ) - 真代さん» 真代さんお久しぶりです!祝ってくださってありがとうございます。柳生篇はギャグも多いのに考えさせられるお話ですよね。それを表現出来てるか不安ですが、楽しんで貰えたら嬉しいです。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2021年5月6日 12時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
真代(プロフ) - ください! (2021年5月6日 3時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
真代(プロフ) - 「貴方の傍に」シリーズ、一周年おめでとうございます!!物語は現在、柳生篇ですね。守りたいもの、取り返したいもののために、強敵と戦う話ですが、この戦いを通して、どう変わっていくのか、また、主人公はどうなっていくのか、楽しみにしてます。連載頑張って (2021年5月6日 3時) (レス) id: edcb4d77ca (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - みうしさん» コメントありがとうございます!1年も書いときながらまだ4巻なんで、申し訳ないです。嬉しく思ってくれること、本当にありがとうございます。今のうちに話を更新していきたいと思ってますのでよろしくお願いします。 (2021年4月28日 17時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
みうし(プロフ) - 一周年おめでとうございます!一年間も書き続けてくださっている月見ソウ様には感謝の気持ちでいっぱいです。この作品が更新される度に嬉しくなっています…wこれからの話の展開も楽しみです。更新陰ながら応援しております! (2021年4月28日 0時) (レス) id: f1ae5cae79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2020年12月11日 23時