花弁がやっつ ページ10
◆◇
『ったく、あのクソババア!!意味わかんない!昨日のうちに説明しとけよ?!』
口が悪いのは知っている。だけど、許して欲しい。
あのババア、朝起きたらいきなり今日は最終選別だ!行け!とか言ってきた。
投げるように渡されたのは羽織と日輪刀。白地に、色とりどりの花と草が描かれている綺麗な羽織。
それと一緒に、華咲さんがつけていたあの髪飾りも持っていけと言われた。
なんの花をモチーフにしているのかわからず聞くと、白木蓮らしい。
私が一番好きな花だと、華咲さんは言った。
ついでに白木蓮の花言葉を教えてもらったけど、恐怖で忘れた。
日輪刀はあの夜、その話をしたあと見てみると色がすっかり変わっていた。
真っ白になってて、びっくりしたよ。
『炭治郎とは真逆だなぁ……』
彼の日輪刀は真っ黒だった。黒は出世できないと言われていたが、白はどうなんだろう?
まだ見ぬ、この世界の主人公を思い出して少し笑みが零れた。だけど、
『やっぱり死にたくないよぉぉ』
善逸顔負けのヘタレ加減を発揮させる私。
だけど、善逸のように誰かが無理やり引っ張っていってくれることはない。
行かなきゃ何も始まらないのはわかっていた。
でも、足が動かなかった。
「君、大丈夫?」
蹲っていると少し幼さの残る高めの声が上から聞こえた。
いきなり声をかけられ、驚いて顔を上げれば赤みがかった髪と瞳が目に入った。
『な、なっ……』
その顔を、私は何度も見た。
どこまでも真っ直ぐで、心優しい少年。
「具合が悪いのなら、肩を貸すよ。そこに、甘味処があるんだ」
この世界の主人公である、竈門炭治郎だった。
『いえ!大丈夫、です!私、行かなきゃ行けないんで!!』
予期せぬ主人公との出会いに興奮と、緊張で上手く口が回らず一生懸命頭を働かせて答える。
「え、どこに?」
『鬼殺隊の最終選別です!』
「えっ?!君みたいな女の子が?!」
驚くよね〜そりゃあ。
私もカナヲちゃんが最終選別にいた時はびっくりしたし。
「俺も、今から最終選別に行くところなんだ!良かったら一緒に行かない?」
パァっと花が咲いたような笑顔を浮かべる炭治郎に、さっきまでの恐怖が溶けていくようだった。
『うん!もちろん!私は、神羅A!よろしくね!』
「俺は竈門炭治郎!よろしくなA」
差し出された手を握り返せば、炭治郎はさらに太陽の様な輝く笑顔を浮かべた。
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ちょこもち(プロフ) - RiXDiQRqwJmNoA0さん» コメントありがとうございます。善逸ってめちゃくちゃ可愛いですよね!可愛い善逸目指して書いているのでそう言っていただけると嬉しいです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
RiXDiQRqwJmNoA0(プロフ) - 善逸の結婚しようから夜中に奇声を発していました、なのに!なんなんですかこのかわいさ!もはや最高です。 (2019年11月17日 22時) (レス) id: 38913fc6bb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - わろちさん» 夢主は普通の高校生からのトリップなので、まぁ…すぐ腕おられますよね笑ありがとうございます (2019年6月29日 9時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
わろち - 簡単に腕折られてて笑った。おもろいけどさ (2019年6月29日 0時) (レス) id: 1a2b7bb68b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - アイスクリームさん» すみません!私も更新した後に気づいて、全て続編の更新と共に直す予定です。本当にすみません! (2019年6月26日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年5月31日 22時