花弁がここのつ ページ11
◆◇
「Aはどうして、鬼殺隊になろうと思ったんだ?」
『拾ってくれた人が育手で、気づいたらこんなことになってた』
私の言葉に炭治郎が一瞬キョトンとした顔をした後、苦笑いをこぼした。
いや、でも事実ですし?私なりたいなんて一言も言ってませんし?
『炭治郎は?』
「俺は……妹を、罪のない人たちを、鬼から守るためかな」
初対面には妹が鬼になったことは言えないのだろう。でも、これは炭治郎の本心だとも思った。
赤みがかったその瞳は、強い意思が宿っていたから。
『すっごいなぁ、炭治郎は』
「そ、そうかな?でも、俺なんてまだまだだよ」
照れたように頬をかいて笑う炭治郎。
その手は、分厚く鍛えられていて痛々しかった。
こんなに優しく笑うのに君は、私よりもよっぽど、重たいものを抱えているんだもんなぁ。
炭治郎と話をしていると、目的の藤襲山に着いた。
「藤の花……?」
『うわっ、きれー』
私たちを取り囲むようにして、咲き乱れる藤の花は幻想的だった。
華咲さんの家を思い出して、少しだけ笑みが零れる。
『こんな季節に藤の花なんて、珍しいよね』
「……」
『炭治郎?』
「へっ?!あ、そ、そうだな!」
炭治郎はボーッとしていたのか、私が問いかけると慌てたように答えた。……どうしたんだろ?
『大丈夫?具合悪い?』
「全然大丈夫だ!さ、行こう!」
少し心配だったけど、炭治郎が大丈夫だと言ったからそれ以上気にしないことにした。
目が回りそうな程の藤の花の間を通り抜けると、視界が開けた。
開けた先には、漫画と同じ光景。
無表情で通しているけど私の心は荒れている。
ぎゃあぁ、伊之助見当たらないけどこの場にかまぼこ組揃ってるわけじゃん?!
あそこに善逸いるし!!ほんとに、パンパンに殴られてるな〜。あ、目が合った。
無視するのも、変だと思ってとりあえずニコッと笑いかけておいた。
「?!あぁぁ……っ」
さすが、女の子大好きマン!!顔を赤くして照れる善逸に心癒されていると、炭治郎から視線を感じた。
『どうしたの?炭治郎』
「あ、いや。ううん、なんでもない」
いつも真っ直ぐ素直な炭治郎にしては、珍しく歯切れの悪い返事が返ってきた。
頭の中ではてなマークを浮かべていると、白髪と黒髪の2人の子供が出てきた。
「皆さま今宵は最終選別にお集まりくださってありがとうございます」
……忘れてた。私これから、死に行くんだった。
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ちょこもち(プロフ) - RiXDiQRqwJmNoA0さん» コメントありがとうございます。善逸ってめちゃくちゃ可愛いですよね!可愛い善逸目指して書いているのでそう言っていただけると嬉しいです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
RiXDiQRqwJmNoA0(プロフ) - 善逸の結婚しようから夜中に奇声を発していました、なのに!なんなんですかこのかわいさ!もはや最高です。 (2019年11月17日 22時) (レス) id: 38913fc6bb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - わろちさん» 夢主は普通の高校生からのトリップなので、まぁ…すぐ腕おられますよね笑ありがとうございます (2019年6月29日 9時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
わろち - 簡単に腕折られてて笑った。おもろいけどさ (2019年6月29日 0時) (レス) id: 1a2b7bb68b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - アイスクリームさん» すみません!私も更新した後に気づいて、全て続編の更新と共に直す予定です。本当にすみません! (2019年6月26日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年5月31日 22時