花弁がじゅうさん ページ15
◆◇
斬られた鬼の首が転がる。
ゆっくりとでも、確実に鬼の体は崩れていく。
炭治郎がゆっくりと振り向いた。
悲しい目で鬼を見た炭治郎に、鬼は目を見開いて驚いていた。
この鬼は、独りだったんだ。
最愛の兄を自分で噛み殺して、兄も自分さえもわからなくなっていた。
ただ、寂しかったのだ。何もわからない世界に独りにされて。
誰かに、兄に、手を握ってほしかっただけなんだ。
その事を炭治郎は知らない。
でも炭治郎はゆっくりと、首が離れた鬼の胴体に近づきその手を握った。
鬼の瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちる。
炭治郎は、わからないだろうな。
君のその行動の1つに、どれだけこの鬼が救われたか。
「神様どうかこの人が今度生まれてくる時、鬼になんてなりませんように」
祈るようにギュッと再度、炭治郎が手を握ったと同時に鬼は跡形もなく消えた。
炭治郎が空を仰ぐ。
きっと、錆兎や真菰や殺された子供達を想っているのだろう。
「A、ありがとう」
『うえっ?!』
突然、お礼を言われて驚いた。
私はありがとう、なんて言われることしてないのに。
「あれだけ死にたくないって言ったのに助けに来てくれて、嬉しかった」
『いや、でも最初……私、炭治郎を置いて逃げようとしたし……』
「でも、来てくれたじゃないか!ありがとう」
ニコニコと笑う炭治郎に、あの時死ぬほど怖い思いをしても助けに行って良かったと思った。
もう二度と嫌だけどね?!
……そう言えば、私弐ノ型なんて習ってないのに土壇場で使えたなー。これ、転生した特典的なものかな?
「最初から俺は知っていたよ。Aは、優しくて強いって!」
『いやいや強かったらこんな汗かいてないからね?触る?手汗びっしょりだよ、私』
私の言葉に苦笑いをこぼす炭治郎。
炭治郎の言葉は真っ直ぐすぎて、照れる。
◇
……と、こんな会話を炭治郎としたのが遠い昔の様に思える。
え?私今どこにいるかって?
『どこかなぁ?ここ』
神羅A、藤の花に囲まれた鬼だらけのこの場所で唯一の心の支えである炭治郎とはぐれました。
数十分前の私を殴りたい……てか、私達を狙ってきた鬼を殴りたい!!
3人の鬼に同時に襲われ、気づけば炭治郎はどこかに行ってしまっていた。
こんないつ死ぬかもわからない場所で、一人ぼっちとか泣きたいんだけど。炭治郎のあの笑顔が恋しいよ……。
割とガチで泣きそうになった時、
「イヤァァァ!!」
めっちゃ汚い高音が聞こえてきた。
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ちょこもち(プロフ) - RiXDiQRqwJmNoA0さん» コメントありがとうございます。善逸ってめちゃくちゃ可愛いですよね!可愛い善逸目指して書いているのでそう言っていただけると嬉しいです! (2019年11月17日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
RiXDiQRqwJmNoA0(プロフ) - 善逸の結婚しようから夜中に奇声を発していました、なのに!なんなんですかこのかわいさ!もはや最高です。 (2019年11月17日 22時) (レス) id: 38913fc6bb (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - わろちさん» 夢主は普通の高校生からのトリップなので、まぁ…すぐ腕おられますよね笑ありがとうございます (2019年6月29日 9時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
わろち - 簡単に腕折られてて笑った。おもろいけどさ (2019年6月29日 0時) (レス) id: 1a2b7bb68b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこもち(プロフ) - アイスクリームさん» すみません!私も更新した後に気づいて、全て続編の更新と共に直す予定です。本当にすみません! (2019年6月26日 23時) (レス) id: cb630583b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年5月31日 22時