花弁がごじゅうご ページ20
◇◆
(さーて。あんなこと言ったけどこの後、真面目にどうしよう?)
めちゃくちゃブチ切れてる累くんを目の前にして、私は冷や汗が垂れるばかりだ。土壇場で新しい技を出せて良かったが、
「お前が僕の頸を斬るのか?」
正直、累くんの頸を切れる程の体力は残っていない。参ノ型はおろか、弐ノ型も難しい。なにせ、片腕は上げるのもやっとなのだから。
『さぁ?でも、そっちもギリギリでしょ?』
半ば、自分を鼓舞するようにはったりをかければ累くんが糸を引く。その途端、四方から糸が迫ってきた。
(全然余裕っぽいね!?化物かよ!!)
__伍ノ型 死色の薊!!
急いで息を深く吸って、迫ってきた糸を切り落とす。私の姿に累くんは目を細めると、次の瞬間笑った。
「お前のその技、僕の糸を全て防ぐようだけど……攻撃は出来ないみたいだね?」
(どうする?炭治郎と禰豆子ちゃんを担いで逃げ……いや、余裕で捕まる!!)
何故こんなにも焦っているかというと、私に攻撃意思がないことを累くんは気づいてしまったからだ。
「だったら、お前の限界がくるまで遊んであげるよ。どこまでもつかな?」
__血鬼術 殺目篭
そんな相手に攻撃するな、と言う方が馬鹿だ。原作で見た通りの、糸で出来た籠が炭治郎と私を覆う。斬ろうとしたが、腕があがらない。
二人だけでも庇おう、そう思った瞬間には頭上の籠は消えていた。それと同時に、見覚えのある羽織が揺れる。
「俺が来るまでよく耐えた。後は任せろ」
冨岡さんだった。その姿にこれ以上ないくらいの安心感を覚える。ーー良かった。原作通りだ……!!
累くんは新しく人が増えたことにイラついた様子で、技を繰り出す。
__血鬼術 刻糸輪転
さっきとは比べ物にならない数の糸が冨岡さんに迫る。量の多さに唖然としていると、腕を引っ張られた。
「っ、A!!」
『炭治郎!?なにして、』
「俺が守るから!!」
炭治郎だった。少し体力が戻ったのか、禰豆子ちゃんを自分の左側に私を右側へと閉じ込め覆いかぶさった。
(なんで、こんなにも君は私を守ろうとしてくれてるの。原作にいない私なんかを)
いつだって、守ってくれるその優しさに私は何も返せやしないのに。嬉しさと同時に、罪悪感が私を襲った。
__全集中・水の呼吸 拾壱ノ型 凪
そんな私を他所に全ての糸が冨岡さんに届く前に切れる。漫画で1度見たが、実際に見ると自分の目を疑う程それは鮮やかだ。
次に瞬きをした時には、累くんの頸は胴体と離れ空を舞っていた。
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美穂(プロフ) - 凄く続きが気になります (2022年12月1日 22時) (レス) id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - 面白かったです!! (2021年10月10日 16時) (レス) @page32 id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして!お話面白かったです!更新しないのですか?続きが気になります! (2020年9月8日 23時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
床に落ちてるゴミ - あれ?更新しないのですか?とても面白かったので続きが読みたいです! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
日和 - 凄く面白かったです!ヽ(*´∀`)ノ続きが気になります!ゆっくりでいいので更新待ってます! (2020年9月4日 15時) (レス) id: 9b97fff7dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2019年6月27日 23時