[完結]それでもあなたが、【urt】

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オフィスに戻って仕事の続きを始めて、もう夕方。



資料作りは終わって、後は経理部に領収書を届けるのと営業部から報告書を受け取るのと。



そのふたつの部署には知り合いがいるからまだ助かる。



「経理と営業行ってきまーす」



隣の浦田と、部長に伝えるためにそう言って、オフィスを出た。



エレベーターに乗ってひとつ上の階に行く。



ポーン、とライトがついてドアが開かれると目の前には禍々しい雰囲気のオフィスが。



……知り合いは居るといっても、ココの雰囲気は苦手なんだよね。



「失礼しまーす…総務部の者、です…」



カタカタカタカタ、ペラペラペラ



電卓を叩く音と髪をめくる音が部屋に響いている。



コンコンとノックをして中へ入ると、一瞬だけ視線が集まってからすぐに視線は戻った。



ひぇ…と怖気付きながらも、知り合いのあの人の元へ。



「志麻さん、これお願いします」



「ん、Aちゃん毎回どーも」



この人は、志麻さん。



経理部の人で、私や浦田と同期。(と言っても浦田から紹介されるまで彼の存在は知らなかった)



所謂イケメンという部類に分類される彼は、仕事をする時にだけつける眼鏡姿の評判が良い。



あとは目元にある涙ボクロがチャームポイント。



…この顔だったら一生損せず生きていけそう。



「…？俺の顔になんかついとる？」



「あ、いえ。それじゃあ、また」



「うん。あ、うらたさんによろしく言っといて？」



「了解です」



志麻さんと少しだけ話してから、経理部を出た。



次は営業部、か。

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