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「ゔぅっ……ん…?」



……あ、れ…なんで私寝てるんだろ…。



起き上がろうとしても、上手く力が入らない。



なんていうか、縛られてるというか…。



金縛り?



「……いっ…た…。……えっ…」



手首に擦れたような痛みが走る。



そしてやっと、意識がしっかりとしてきた。



部屋は私の部屋。



なのに、手首が縄のようなもので縛られている。



「どっ、どういうこと…?」



カーテンの隙間から見える空は黒く、まだ夜なのだと分かった。



私……さっきまで何してたっけ…。



浦田に告白されたとこまでは覚えてる。



……その後、停電…で…。



ガチャンッ



勝手に、ドアが開いた音がした。



思わず起き上がってベッドの隅へ。



だ、誰…誰なの…?



私の部屋、だよね…?



こちらへ近づいてくる足音。



「あぁ…起きたんだね…」



「だ、誰っ!?」



黒づくめの男が近づいてきた。



怖くて身をよじる。



けれど、足首も縛られているようで上手く動けなかった。



「こ、ないで…!」



「なんで…?君は僕のものだよね?」



君は、僕のもの……?



なんだか聞いたことがある言葉だ。



「…!!」



あの、手紙の……人…?



ひゅっ、と喉に空気が入ってくる。



だけど上手く呼吸が出来なくて。



誰か…誰か助けて…。



浦田……。



「怯えた顔も可愛いね…あの男は、君のそんな顔見たことないんだろうね」



「はっ…?……!!!!」



男のマスクがとれる。



それは、見たことがある顔。



「バー、テンダー…さん……」



「あぁ…僕のこと覚えてるんだ…ふふ、かわいい」



「やめっ…!来ないでよ…!!」



どうして、なんでバーテンダーさんが?



私の家にいるの?私は縛られてるの?



頭がこんがらがって、恐怖が心を支配する。



「う、らたぁっ…」



「……他の男の名前なんて、聞きたくないなぁ」



「ひっ…!ゃ、ぁ……」



サングラスの奥に見える目は鋭い。



やだ、やだやだやだ。



ポロポロと溢れる涙も拭えないまま、男は近づいてくる。



警察…呼ばなきゃなのに…動けない。



伸ばした足を必死に畳んで、手の届く位置へと持ってくる。



そして布団に隠れたまま縄を解き始めた。



幸い、男にはバレていない。



「怖いねぇ、可愛いねぇ」



「っぐ……はぁ…はぁ…」



嗚咽を我慢して、必死に男を睨んだ。

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設定タグ:浦島坂田船 , うらたぬき , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
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セツ(プロフ) - まっちゃさん» ありがとうございます!続きの件考えておきますね^^* (2021年9月17日 0時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - めちゃくちゃ好きです。続き出してくれると嬉しいです。結婚した後の話とか (2021年9月16日 22時) (レス) id: fd1535e5b9 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 松野かほさん» ありがとうございます! (2021年9月13日 7時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - めっっちゃすきです…… (2021年9月13日 1時) (レス) id: 845a75d25b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セツ | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年9月7日 0時

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