[完結]それでもあなたが、【urt】

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「あ、はい。こちらですね！」



「ありがとうございます…！！」



「いえいえ。僕も鍵の存在気づかなかったので…」



バーテンダーさんから鍵を渡される。



鍵にはちゃんと、お気に入りのキーホルダーがついていた。



少し前の誕生日に浦田がくれた、タヌキのキーホルダー。



タヌキといえばアイツの方が似てるんだけどね。



「……昨日の方、彼氏さんですか？」



「えっ？」



「あ、いや、すみません。ちょっと気になって」



彼氏さんですか？……か。



周りから見たらそんなふうに見えてるのかな。



「はは、違いますよ。同期です」



「あ、そうなんですね…！すみません」



「いえいえ。あー、じゃあ私そろそろ」



「はい！また来てくださいね」



「もちろんです」



バーテンダーさんに小さく頭を下げ、バーを出た。



…彼氏、ね。



だったらいいんだけど。



かと言って32歳のおばさんが彼氏だのなんだの騒ぎたくはない。



今の距離で、もう十分な気もしてる。



浦田に彼女が出来たら素直に祝福するし、きっとその彼女は年下なんだろうなって勝手に予想しちゃう。



年下の可愛い女の子と浦田はお似合いだ。



そうそう、あの目の前のカップルみたいに。



みたい……に…。



「っえ……」



カサッ…



紙袋が地面に落ちる。



思わずこぼれた音と共に震える唇。



なんで、なんで。



「う、らた……？」



浦田が女の子と歩いてるの？

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