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再び目が覚めた時、黒いカーテンの隙間からは僅かに陽の光が漏れてきていた。
その光が眩しくて、手で目を覆う。
……眩しい。
眩しすぎて、私には、もったいない。
素肌を隠すように私の体に掛けられている布団に潜り込む。
今、何時なんだろう。
腰の僅かな痛みに顔を歪ませながら、スマホの電源をつける。
8:12、か。
時間の下には土曜日の文字。
つまり学校は休みだということ。
だったらまた寝ちゃってもいっか。
そう思い、スマホの電源を落とす。
するとこの部屋のドアがキィ…と音を立ててゆっくりと開いた。
「…!」
近くのテーブルに置かれてあった拳銃を取り、構える。
安全装置を外そうと指をかけると、陽の光に当たった銀色の髪が目の前で揺れた。
「ジン…。」
『焦らなくても誰かが来たらこっちで全部処理する。』
「…うん、そうだね。」
ジンに向けていた拳銃をベッドに投げ捨てる。
そして両手を広げた。
すると少し笑ってベッドに潜り込んでくるジン。
私はそんなジンの上へまたがり、先程投げ捨てたばかりの拳銃を彼の頭へと突きつけた。
『なっ…!』
「あなた、ジンじゃない。ジンはどこ!!」
裸だなんて気にしない。
コイツはジンじゃない。
匂いだって、体格だって、目付きだって、何もかも違う。
私の愛してる人じゃない。
今度こそ、安全装置を外す。
今撃てば、私の手は絶対に火傷をする。
けど、そんなのどうでもいい。
「ジンはどこ。…ベルさんが来ないってことは、彼女もどこかへ連れて行ったのね!?」
『ハッ…流石幹部と言ったところか。』
「早く言いなさい!」
引き金に指をかけ、額に銃を押し付ける。
ここで撃ったら、ニセモノは消える。
だけどホンモノの居場所がわからなくなる。
『……ついてこい。』
「…分かったわ。」
私はニセモノに銃を向けたまま、Tシャツを1枚着る。
大きめの、ジンのもの。
下着を履き、立ち上がるニセモノの後ろをついて行った。
勿論、拳銃は向けたまま。
アジトには血痕が何ヶ所にも広がっていた。
っ、なんで私は銃声に気が付かなかったの?
悔しい。
下唇を噛むと、プツッと皮が破れて鉄の味が口に広がる。
アジトの外へ出ると、黒い車が3台、そこには止まっていた。
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作者名:セツ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年4月24日 14時