46 ページ46
「お邪魔します。」
結局あれから私たちの間には沈黙が流れるだけで、気を利かせてくれたのか業が車へと連れて行ってくれた。
助手席に乗り込み連れてこられたのは私の家…では無く、業の家。
このマンション、最近は良い思い出無いんだけどな…。
深呼吸した後に部屋に入ると、そこには誰もいなかった。
なんか安心…。
業『座ってなよ…って、間取り知ってるだろうけど。』
「うん。」
何度が来たことはあったから、間取りは把握している。
たまたま来た時に愛美ちゃんが居たってだけで、ね。
リビングのソファーに座る。
キス、ねぇ…。
"業"と"キス"と聞くとどえしても頭にチラつくのは愛美ちゃんとのキスシーン。
これまで業に相手が出来たという話は聞いた事がないから、きっと彼にとっても彼女にとってもファーストキスだろう。
嫌、だなぁ…。
キスしている事実も嫌だけれど、こんなにも嫉妬してしまう自分も嫌。
最近嫉妬しすぎだ…私…。
業『はいこれ珈琲。』
「あ、ありがとう。」
いきなりリビングに顔を出した業に驚きながらも、珈琲の入ったコップを受け取る。
一口だけ飲み、テーブルにコップを置いた。
私の隣に座る業。
近い…。
テレビの音も何も鳴っていない静かな部屋で、私たちの呼吸音のみが僅かに聞こえる。
業から見つめられているのは視線で分かるけれど、そちらを見る勇気は今はない。
必死で前を向いていると、右耳に違和感を感じる。
「んっ…。」
優しく触られ、思わず声が出てしまった。
そのまま耳に息がかかる。
いつの日かの同窓会の時みたいに。
「っ……だ、め…。」
噛まれる感覚が耳の軟骨に感じる。
力を抜くと頭がおかしくなってしまいそうで、目を瞑って意識を保つ。
「も、無理だっ…て…。」
業から離れるようにして、向かい合う。
向かい合ったら耳は絶対に弄られない。
すると目の前にいるのはニヤリと笑う業。
業『引っかかった。』
「ぇ…っん…!」
首に腕が回され、唇に柔らかいモノが当たる。
思わず目を見開くと、目の前にあるのは業の顔。
やっぱり、キス…だよね。
「んん…ぁ…。」
酸素が欲しくて口を開けても、舌が入り込んでくる。
こんなの、初めてで…もう、無理だよ…。
生理的な涙が目からこぼれる。
すると業は銀の糸を引きながら唇を離した。
1774人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヒヨコ(プロフ) - ホントにおもしろかったです!次の作品も楽しみにしてます! (2020年6月14日 19時) (レス) id: a71ea1e4cf (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - 夢主のファーストキスってビッチ先生なんじゃ (2020年6月1日 18時) (レス) id: 348cf1e7b1 (このIDを非表示/違反報告)
Mocha(プロフ) - 面白かったです! (2020年5月13日 21時) (レス) id: 87128bc86a (このIDを非表示/違反報告)
くるみっこ - あのすみません、16の、カルマのセリフの「どうやらちがうみたい」が「どうやるちがうみたい」なってますよ。 (2020年5月5日 17時) (レス) id: 65e7743a54 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - *利茄*さん» 何の小説ですか?題名、教えて下さい! (2020年5月4日 12時) (レス) id: a86d5a1323 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セツ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年4月3日 17時