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「お邪魔します。」



結局あれから私たちの間には沈黙が流れるだけで、気を利かせてくれたのか業が車へと連れて行ってくれた。



助手席に乗り込み連れてこられたのは私の家…では無く、業の家。



このマンション、最近は良い思い出無いんだけどな…。



深呼吸した後に部屋に入ると、そこには誰もいなかった。



なんか安心…。



業『座ってなよ…って、間取り知ってるだろうけど。』



「うん。」



何度が来たことはあったから、間取りは把握している。



たまたま来た時に愛美ちゃんが居たってだけで、ね。



リビングのソファーに座る。



キス、ねぇ…。



"業"と"キス"と聞くとどえしても頭にチラつくのは愛美ちゃんとのキスシーン。



これまで業に相手が出来たという話は聞いた事がないから、きっと彼にとっても彼女にとってもファーストキスだろう。



嫌、だなぁ…。



キスしている事実も嫌だけれど、こんなにも嫉妬してしまう自分も嫌。



最近嫉妬しすぎだ…私…。



業『はいこれ珈琲。』



「あ、ありがとう。」



いきなりリビングに顔を出した業に驚きながらも、珈琲の入ったコップを受け取る。



一口だけ飲み、テーブルにコップを置いた。



私の隣に座る業。



近い…。



テレビの音も何も鳴っていない静かな部屋で、私たちの呼吸音のみが僅かに聞こえる。



業から見つめられているのは視線で分かるけれど、そちらを見る勇気は今はない。



必死で前を向いていると、右耳に違和感を感じる。



「んっ…。」



優しく触られ、思わず声が出てしまった。



そのまま耳に息がかかる。



いつの日かの同窓会の時みたいに。



「っ……だ、め…。」



噛まれる感覚が耳の軟骨に感じる。



力を抜くと頭がおかしくなってしまいそうで、目を瞑って意識を保つ。



「も、無理だっ…て…。」



業から離れるようにして、向かい合う。



向かい合ったら耳は絶対に弄られない。



すると目の前にいるのはニヤリと笑う業。



業『引っかかった。』



「ぇ…っん…!」



首に腕が回され、唇に柔らかいモノが当たる。



思わず目を見開くと、目の前にあるのは業の顔。



やっぱり、キス…だよね。



「んん…ぁ…。」



酸素が欲しくて口を開けても、舌が入り込んでくる。



こんなの、初めてで…もう、無理だよ…。



生理的な涙が目からこぼれる。



すると業は銀の糸を引きながら唇を離した。

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ヒヨコ(プロフ) - ホントにおもしろかったです!次の作品も楽しみにしてます! (2020年6月14日 19時) (レス) id: a71ea1e4cf (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - 夢主のファーストキスってビッチ先生なんじゃ (2020年6月1日 18時) (レス) id: 348cf1e7b1 (このIDを非表示/違反報告)
Mocha(プロフ) - 面白かったです! (2020年5月13日 21時) (レス) id: 87128bc86a (このIDを非表示/違反報告)
くるみっこ - あのすみません、16の、カルマのセリフの「どうやらちがうみたい」が「どうやるちがうみたい」なってますよ。 (2020年5月5日 17時) (レス) id: 65e7743a54 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - *利茄*さん» 何の小説ですか?題名、教えて下さい! (2020年5月4日 12時) (レス) id: a86d5a1323 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セツ | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年4月3日 17時

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