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「そんなこと言われたら…勘違い、する…。」



業『別に勘違いしてもいいんじゃない?』



手を顔の前まで持ってきて、ちらりと業の様子を伺う。



だけど返ってきた言葉は相変わらず挑発するような、意地悪な言い方。



…本当に勘違いしても良いのだろうか。



愛美ちゃんは?



いや、でも業は絶対二股とかしないタイプだし。



業や愛美ちゃんの事を考えていくうちに段々目頭が熱くなってくる。



本当に…業は私の事が好きなの?



「っ……。」



業『はは、泣きすぎ。』



「だっ…て…愛美ちゃんは…?」



業『洗脳されてた、って言ったでしょ。』



後ずさっていた私に近付くように業が長い足を前に出す。



そして目の前に来た時、私の涙を指で優しく拭った。



だって愛美ちゃんは…中学の時から業の事が好きで…。



あの洗脳だって、本能を引き出しそれを凶暴化させたようなものだろう。



分かんない、けど…。



業『ん、おいで。』



業の細い指に頬を撫でられる感覚が擽ったくて顔を背けていると、目の前で両腕を広げられた。



おいで、って…ここにまた飛びつけと?



もうさっきので精一杯なんだけどな…。



「絶対…?」



業『絶対。』



少しつり上がった彼の目に吸い込まれるような感覚に陥る。



私は渋々ながらも、広げられた腕の中へと入った。



そのまま先程みたいにぎゅっ、と抱き締められる。



頭に顎を置かれて痛い。



業『ね、俺のこと好き?』



「…ん、好き。」



業『へー。いつから?』



「初めて会った時から。」



視線も絡まないままそんな話が飛び交う。



しれっと告白してしまったけれど…まぁ、顔見えないからいっか…。



業『俺も。』



「そ、なんだ…。」



やっぱり中学の時から私の事好きだったんだ。



嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。



すると再び風が吹いた。



視界の隅で桃色が揺れる。



私は業の胸から顔を離し、それを目で追いかける。



やっぱり綺麗。



上を見ると、先程の私のように鼻の頭に花びらをつけている業が。



クスリと笑い、業の腕から離れるようにして背伸びをする。



そして花びらをつまんだ。



「取れた。」



業『ん?』



「これ。」



人差し指と親指でつまんでいる花びらを業に見せる。



それを見た業は"なんだ…"と呟いた。



「なんだって何。」



業『んー?キスしてくれるのかなー、って。』



「…へ?」



本当にこの人は…。

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ヒヨコ(プロフ) - ホントにおもしろかったです!次の作品も楽しみにしてます! (2020年6月14日 19時) (レス) id: a71ea1e4cf (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - 夢主のファーストキスってビッチ先生なんじゃ (2020年6月1日 18時) (レス) id: 348cf1e7b1 (このIDを非表示/違反報告)
Mocha(プロフ) - 面白かったです! (2020年5月13日 21時) (レス) id: 87128bc86a (このIDを非表示/違反報告)
くるみっこ - あのすみません、16の、カルマのセリフの「どうやらちがうみたい」が「どうやるちがうみたい」なってますよ。 (2020年5月5日 17時) (レス) id: 65e7743a54 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - *利茄*さん» 何の小説ですか?題名、教えて下さい! (2020年5月4日 12時) (レス) id: a86d5a1323 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セツ | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年4月3日 17時

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