1話 ページ5
side you
朝は、苦手だ。
眠さと前日の癒えきれていない疲れ。これが同時に来るのだから、地獄以外の何物でもない。
ただ、そんな朝も、捨てたもんじゃないと、今日初めて思った。
だって…
「あっ、山本さん!おはようございます!」
今日は大学の講義がいつもより早く始まる。だから、嫌々ながらも朝早く起きて家を出たら、何と奇遇なことに山本さんに会えたのだ!
これを奇跡と言わずになんというんだろう。
「…おはよう。」
あぁ、眠そうな声もいい!可愛い!かっこいい!
ちょっと跳ねてる髪の毛とか、もう可愛すぎる。反則。
…本当に、山本さんってカッコイイよなぁ。めっちゃ顔整ってるもん。まぁ、山本さんのいい所は、顔なんかよりも、その人柄だけど。
「山本さん、眠そうですね。」
「眠いですからね。…まぁ、うるさい誰かさんのせいで眠気も冷めてきましたけど。」
うるさい誰かさん…うん、言わずもがな、私の事だ。
ひどい言われようだと思われているかもしれないが、別にいい。だって、山本さんとこうして話せているから。
「ふふっ、じゃあ私に感謝ですね?」
「…そのポジティブさ、ある意味尊敬します。」
「えー、私は尊敬されたいんじゃなくて、山本さんに愛されたいんですけど。」
「ぶっ…」
かぁっと一瞬で赤くなった山本さんの顔。
反応が乙女みたいだ。
「ふふっ、大好きです、山本さん!」
「…僕は、好きじゃないです。」
「でも、私は好きです!」
何度だって、言うよ。
山本さんが、私を好きになってくれるまで。その道のりは、果てしなく長そうだし、終わりがあるかどうかも未知数だけれども。
「…はぁ。大学、そっちですよね。僕、あっちなんで。」
「あ、はい…。」
そっか、もうここでお別れか…もっと一緒にいたかったなぁ。
山本さんと一緒にいると、時間なんてあっという間にすぎてしまう。
「…勉強、頑張ってください。では、これで。」
「…!ありがとうございますっ、山本さんにそう言われただけで頑張れます!
…山本さんっ!大好きですっ!!」
勢い良くそう言うと、山本さんは目を丸くした。
「分かりましたから。もうそれ以上、言わなくていいです。」
「えー、無理です。山本さんが私のことを好きになってくれるまでは。」
「潔く諦めてくださいよ。」
こうして、何度告白したって山本さんからいい返事をしてもらったことはない。
でも、いつか山本さんが私を好きになってくれるその日まで…私は頑張る。山本さんが好きになってくれる自分になるために。
だから…山本さん。私を好きになってください。
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作者名:AIKA | 作成日時:2019年4月19日 21時