７９話 フレアの影響力 ページ32
〈授業後〉
「ねえ、A？」
「？ 明星くん。どうかしたの、そんな神妙な顔つきで……？」
「朔間先輩って、Aのお兄ちゃんなんでしょ？」 何を当たり前なことを聞いているんだ、と頭のなかで馬鹿にする。 けれど、実際に彼に言ってあげるのは、全くの虚言。
「えっ、お兄ちゃんって？ おかしいなぁ……私は確か、『一人っ子ちゃん』だった気がするんだけど」
事後なので、尚更気まずいからだ。 そうじゃなかったら別に、否定なんてしなかったと思うんだけれどね。 明星くんは私の返答を聞いて、小さく「はあ」と溜め息をついた。
わかるわけないでしょ、兄弟がいない明星くんには。 首は突っ込むものじゃないんだよ？
「あ〜うん、まぁわかってたけど。 今は嘘つかないと駄目な状況なの？ そうじゃないと、苦しくなる？ Aはまわりの目を気にしてまで、お兄ちゃんにそんなこと言い続けたいの？」
「あ、明星くんのお兄ちゃんじゃないでしょ……⁉」
核心を抉(えぐ)り取られるような感覚に、思わず恐怖した。 私のお兄ちゃんが、明星くんが奪っていきそうな危うさ。 そうでなくとも、返答によっては、取り返しのつかない事態になりそうな危うさがあった。
「うん、勿論違うよ。 俺には今、母さんしかいない。 Aみたいにお兄さんが二人いればいいのにって思うよ……寂しいから」
「だからさ、今から朔間先輩のところに行こうよ。 Aも……家族だからって『寂しい思い』するのは、もう嫌だよね？ 一年生の時に散々俺に言ってきたじゃん、寂しいって」
確かに、去年クラスでもあぶれ者だった私は、明星くんに手を伸ばした。 寂しいのは、誰のせいとは、凛月ほど邪推したりしなかったけど。
「―――明星くんは、来てくれるの？」
「ごめんね、俺はレッスンがあるから行けないけど。 代わりにあんずがついてきてくれるよ」
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日向サク(プロフ) - さくぷらさん» わぁっ、ありがとうございます！ やる気出ますね、これからも頑張れそうです！ コメントありがとうございました！！ (2018年4月3日 9時) (
レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
さくぷら(プロフ) - 初めまして！前作からお邪魔しております。夢主ちゃんが可愛くてついつい読んでると笑顔になるぐらいこの小説が好きです…(*´ω`*)続編おめでとうございます！これからもささやかながら応援させてくださいませ(*^^*) (2018年3月27日 20時) (レス) id: af6c7ada7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：日向サク x他1人 | 作成日時：2018年3月27日 19時
