７３話 黄泉の子になろうよ ページ26
〈約１時間後〉
繁華街までやってきた。 『Trickstar』がいつもの喫茶店にいるとのことなので、あんずにご同行を願ったのだけど_____。 一人で乗り込んでいくほどの勇気は、まだない。
「ぜぇ……はぁ……。 あんず、ごめんね、ちょっと日差しが辛くて、歩くの遅くなっちゃったね」
「あっうん、お水ありがとう……。 本当に気が利くね、さすがは『プロデューサー』♪」
元気になったところで、ゆっくりと金属棒のノブを押した。 穏やかなジャズ系のBGMが、私の頬を掠めていく。
「A！」
「ひゃ……！ こら、あ、明星くん……⁉」
太陽のフレアが、首筋に突っ込んでくる。 がっついて、離さない！と叫んでいるようだ。 あぁ。もう駄目。 なんて、優しくてあったかい人なんだろう。 馬鹿周りな私を、もう一度、抱きしめてくれる。
「う、うぅっ、ぅあ……っ」
ぼろぼろと、大きな雨粒が降り落ちる。 店先で、なんて恥ずかしいことをしているんだろう。 正気だったら、そういうことを考えていたかもしれないけど、生憎今は、そんな余裕が無かった。
「うわ〜ん！！」
_______
______________
〈数分後〉
「落ち着いたか」
「おぉい、Aっ？ ホッケ〜がなんか言ってるよ、無視しないであげて〜？ あぁでも、『一応』もごもご言ってるみたい……？」
「一応、では困るんだが。 ……言ってる場合でもないか。 明星、お前はそのまま、Aを引っ付けてこっちのソファー席まで来い」
諒解(りょうかい)の返事をして、明星くんは歩き出した。 頭を背中に擦り付けているから、歩き出すタイミングが分からなくて、何度か明星くんの足を踏んでしまうという次第。
「歩ける？ん〜、あと６メートルくらいだよ！」「あ、歩けるよ、もう落ち着いたから……」小さな声でありがとうと呟いた。
「ふい〜、到着到着〜☆」
「……君たち。 あの、えぇっと、さっき私が言った失言に関してのことだけど___」
両隣には、あんずと明星くん。 正面には遊木くん、氷鷹くん、それに真緒くんが座っていた。 三人は真剣な表情で、私の発言を待っているようだった。 言わないと、ちゃんと言わないと。
「……思ってもないこと言って、悪かったね。 あんずと君たちが仲良くしてるの羨ましかったよ。 見てて闇のなかに引きずり込んでやろうかってくらい、みんなキラキラ輝いてた」
「私には、一生かかっても会得することのできない幸せなんだって、心からそう強く思うよ」
７４話 悪い子にはなれないよ→←７２話 地獄の沙汰(さた)も
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日向サク(プロフ) - さくぷらさん» わぁっ、ありがとうございます！ やる気出ますね、これからも頑張れそうです！ コメントありがとうございました！！ (2018年4月3日 9時) (
レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
さくぷら(プロフ) - 初めまして！前作からお邪魔しております。夢主ちゃんが可愛くてついつい読んでると笑顔になるぐらいこの小説が好きです…(*´ω`*)続編おめでとうございます！これからもささやかながら応援させてくださいませ(*^^*) (2018年3月27日 20時) (レス) id: af6c7ada7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：日向サク x他1人 | 作成日時：2018年3月27日 19時
