ビワーガノ・デ・ウラク【あんスタ！】 (ページ7)

今日:23 hit、昨日:6 hit、合計:19,858 hit

暗闇,006 ページ7

＃

「意外としっかりしてるようだけど、目上の人間には敬意を払うべきだよね？『野郎』や『根暗』だとか____誰かさんが恥ずかしがっていたよ」

「会長さまは『うぶ』ですから～…わたしがぶかつにはいっているのも、それを見るためなんですよ…♪」

目上の人間には敬意を払うべき、という論点には特に触れずAは皇帝の御前でなんと魔王の話題を振ったのだ。

_____一瞬だけ、空気が凍りつく。

「現時点での『会長』に当たる存在は、この僕だよ。それと過去の感傷に浸っているのは勝手だけれど、いつまでも立ち止まっているのは違うと思うよ？……きみも、馬鹿じゃないんだから」

いかにも言ってやった、という顔だ。今の夢ノ咲学院を牛耳っているのはこの僕だ。統帥を執っているのは、この僕だ。情けないがそんな気持ちでいっぱいのようだ。

「え～…あのじつは。わたしの中では、いまでも時がとまったままなんですよ」

「会長さまは、かくめいを終えてから時がうごきだしたと言いましたが……わたしの中ではとまったままなんです、ざんねんな話ですよね～」

英智はさらり…「うん？」と疑問を投げ掛けたが、内心は警戒しきっていた。一体今の話の流れで何故『革命』についての話題が出てきたのか。無策か、故意か。理解できなかった。

「わたし、じぶんを卑下して『わたしばかなんです』っていうほど、おとろえてはいないんですが、じぶんがどうあろうと…勝手でしょう？」

「それとも。あなたは、国民ひとりひとりを『しはい』するつもりなんですか……？」

(………負けた。流石に論争できみには勝てないか)

心の中で密かに白旗を揚げたようだ。微妙に話題がずれていようと、Aの口にするひとつひとつは、いつも的を得た発言だったからだ。

「ごめんね…もういいよ。はい、僕のハンカチ。口が汚れているからこれで拭くといい」

「わあ。うふふ、どうもありがとうございます。ふわふわしてますね、これ貰っちゃってもいいですか～…？」

「そこまで妥協してあげる義理はないよ。明日中に返してくれればそれで良いから」

「うぅ。はい、わかりました…」

しょんぼりと肩を落として、彼女は去っていった。