検索窓
今日:14 hit、昨日:6 hit、合計:19,849 hit

暗闇,032 ページ33






「ふぁあ…。ずっと起きてたんですね、会長さまは。」



「うん?あぁ、そうじゃよ。我輩は夜闇の住人。我輩にとっては夜の方が主な活動時間じゃからのう。くくくっ……何度も聞いたか?」



「さあ、どうでしたっけ〜。会長さま、『よふかし』なんてりっぱな悪ですよ?うふふ、わるいこです〜……」




悪い子、という批判的な物言いに零は、「おいおい、懐かしいこと言ってくれるじゃね〜か」と、これまた懐かしい口調で彼女の頭をガシガシ撫でた。もう少しいくと、頭皮がめくれそう。




「さすがはわれらの棟梁、『まおう』いまだ健在〜ってやつですね……?」



「うわぁい。どうも、わたしは月王Aっていいます〜。さっそく陛下、ごめいれいをどうぞ〜……♪」



茶目っ気たっぷりに微笑みかける。『初めて会いました』という定(てい)なのか、設定を詳細詳しく示してわりには演技が大雑把だ。




「いやいや、どうして初対面の相手に命令をせがもうとするんじゃ……。おかしいとは思わぬか、おぬしは憧れの人を前にそんな粗相を冒すのか?」



「ぬ〜ん。そそう……とはおもわないですね?少なくともわたしの『かんかく』では問題なしってはんだんを下します〜」



「それにわたしの憧れは会長さま、あなただけです。ほかに『じつれい』をたぐい見ませんから〜……少々わかりかねます。えへへ、すみません。」



何故か照れたように人差し指で目尻を掻く彼女。なんで照れているのだろうか。外面だけ見たら、彼女が『闇』を抱えているなど知れないだろう。



彼女の心の奥に潜む闇の『存在』ですら故意に忘れさせてしまうほどの優しさ。恐らく自分の真っ黒な部分で、周りの環境を汚染したくないのだろう。




「もし『そそう』だと思うのなら、斬っちゃってもらっても構いませんよ。会長さまの手でこのからだが『肉塊』と化すのであれば、それもまた『ほんもう』ですから……♪」



少しだけ、ほんの少しだけ室内の温度が低下する。いっそのことグチャグチャになりたいと思う彼女の身には、人々の希望と期待が重なっていた。重すぎる声援だ。それがしっとりと、着実に、彼女を蝕んでゆく。



「お前は『俺』をどうしたいんだよ……。今日はよく喋るなぁ、元気かよ?」


「え?…えぇと、はい。そんな感じです〜」


「オイ、うざいからって適当に返事すんな。」



「えっ。なんで分かったんですか?うふふ、すごいです」

暗闇,033→←暗闇,031



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
60人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

日向サク(プロフ) - ありがとう〜 (2017年12月14日 18時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
しょーり - サイコー!! 大好き!! キュンキュン!! (2017年12月14日 18時) (レス) id: d8a6f4a6f4 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - とってもいいです!!最高です!!応援しています!更新頑張って下さい! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f65f9d6e58 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:日向サク | 作成日時:2017年9月16日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。