暗闇,022 ページ23
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「どこか、いっちゃいましたね。はぁ……」
彼女はため息をついた。またくだらないことを思い悩んでいるのだろうか。鬱だ、これは一種の病気なのだ。誰か、カウンセラーが必要だ。
「ぺたぺた…♪ふふ、かわいいですね。ちょっと待ってくださ〜い……」
「はぁ。困った子じゃのう、あやつも。いつかお金を搾り取られそうで心配になるわい。将来はヒモ男決定かの〜?」
彼女の手から抜け出して、ペタペタと扉の方へと向かっていったウーパールーパー。ちょうど今、零が帰ってきて扉を開けたので、案の定ウーパールーパーは飛んでゆく。
「ん?A、地べたに寝転がって何をしておる。」
「あ〜。いまので飛んでいっちゃいましたよ。ピクピクしてますね、なんとか息はあるみたい〜……」
「え。それはすまんかった、怪我は無さそうかえ?」
『へいきです』と微笑みながら、今度こそ突然変異の青いウーパールーパーを水槽の中へ入れる。飛んで行ったところが部室の隅だったので埃がついていた。
身体中の水分を失って今にも干からびそう。大丈夫なのだろうか。
「親御さんとはしっかりやっておるか?前みたいなことはもう勘弁しておくれよ。街一周させておいて、結果我輩の棺桶で睡眠していたとか……何の罰ゲームじゃそれ」
「すいません。あのときはいろいろと疲れてて、いえを出て『いばしょ』がなかったんです。会長さまの『お荷物』になるつもりじゃなかったんですけど……はぁ」
「わああ!!すまんかった、だから泣かんといてくれ!我輩Aが泣くとどうしようもなくなるのじゃ、それにあやつらに殺される‼」
必死にあやそうと、赤ちゃん用のカラカラを棺桶から取り出す。なかなかにシュールな絵面だ。一年留年した(自称)吸血鬼、もとい男子高校生が赤ちゃん用のカラカラを持ち出すなんて。本当になんて絵面だ。シュール過ぎる。
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日向サク(プロフ) - ありがとう〜 (2017年12月14日 18時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
しょーり - サイコー!! 大好き!! キュンキュン!! (2017年12月14日 18時) (レス) id: d8a6f4a6f4 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - とってもいいです!!最高です!!応援しています!更新頑張って下さい! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f65f9d6e58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向サク | 作成日時:2017年9月16日 10時