暗闇,020 ページ21
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「おーい。朔間さん、今両手塞がってるからドア開けてくれるー」
……魔物の巣窟に、来るべき混沌は訪れた。
なぁんて、少し小洒落た感じになっただろうか。棺桶に腰掛ける零は、柄にもなくそんなことを考えていた。
「あぁもう!朔間さん、さっさとドア開けてよ‼」
「くくく、そう急かさずとも良いのに。なんじゃい、Aを呼びに行くと自分から飛び出しておいて。あやつ一人迎えにいくのに、両手など塞がるものかの〜……?」
それだけの大荷物なんだろう。異様な焦り様だった。いったいどのような『手土産』か。楽しさ半分といった、そんな遊び感覚で扉を開けた。
「えっ、」
「そりゃそうか。普通はそういう反応だよね…。はいはい。邪魔になるからそこで意識飛ばさないでね」
・ * ・ * ・ *
「まだ混乱しておって完全には分からんのじゃけども。とにかく、この馬鹿でかい荷物は全てそのウーパールーパーの家だと?」
「そうそう。この子がさっき言ってた突然変異のウーパーちゃんだよ、(俺は世話とか嫌だから)大切にしてあげてね朔間さん♡」
「はぁ……」
水槽に、空気を送るための電動ポンプ、ウーパールーパーの餌、そこに敷く砂利とよくわからない置物(?)。その他含めて、全部で悍(おぞ)ましいぐらいの値段になってしまったらしい。
それを聞いて被害者の零と薫、『UNDEAD』の『二枚看板』はため息をつくばかりであった。
「うっふふふ、おめめが真っ青でかわいいですね。ぷぅにぷに〜……♪」
「我輩としては孫の望みなら出来るだけ叶えてはやりたいんじゃけどな。どうせまた、上手い具合に唆(そそのか)されたんじゃろう?こやつに。まったく、どうするんじゃ……」
孫だと言ったり妹だと言ったり、はたまた娘だとも言ってみたり。目まぐるしいくらい忙しく変わる彼女の名前。内心薫も呆れかけていた。
しかし今回は、我欲に押し負かされてしまったので、そのことに関しては何の口出しもできない。
「して。何を条件に荷物持ちまで受け持ったんじゃ?場所を提供するのじゃから、それくらいは教えてくれるのじゃろうな、もちろん」
「え、え〜…。まあ、いいんだけどさあ。」
(下手に言ったら棺桶にぶち込まれそう……)
「えへへ、ぺたぺた歩いてますよ〜?わあ。とってもかわいいですね〜…♪」
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日向サク(プロフ) - ありがとう〜 (2017年12月14日 18時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
しょーり - サイコー!! 大好き!! キュンキュン!! (2017年12月14日 18時) (レス) id: d8a6f4a6f4 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - とってもいいです!!最高です!!応援しています!更新頑張って下さい! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f65f9d6e58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向サク | 作成日時:2017年9月16日 10時