暗闇,016 ページ17
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「みんな、わたしのしらないところで変わっていきますね。とくにレオくん。ただの考えなしだとおもってたあの『王さま』が……」
「やっぱり、いちど死ぬのがいいんでしょうか。そうしたらわたしも、うまれかわって、強くなれるんでしょうか?」
さっきまでレオが寝そべっていた場所に、添い寝するように彼女もふわりと寝そべる。ゆっくりゆっくり、労わりながらレオの居た形を縁取(ふちど)った。
「かなしいことをかんがえるのは『やめ』です、おかしをたべれば『だれでも』元気になりますからね〜。うふふ」
「う〜ん、パティシエのあじ〜……♪」
彼女のブレザーに無造作に入っていた、アルコールが入ったブランデーケーキ。彼女の言う『おうちのひと』が毎日絶やさず『奉納』という名目で菓子を与えるのだ。
実際は怒りもしない我が子に向けて、お供え物をする。機嫌を損なわぬよう細心の注意を払って。御神を祟らせぬよう、実の娘に全財産をかける。
「こんな凝ったものじゃなくてもいいのに。『ふつう』によっちゃ*イカでもいいのに……」
「えへへ。でもいいです、わけは違えどわたしのことをたいせつにおもっているのはかわりませんから。今はそう信じていたいです」
たとえみんなと違うことを指摘されても、別に構わない。それよりも自分の残された役目を果たしたい。多くの人々のために、この全身を枯らしたい。
ーーーただ、わたしにできるのはそれだけです。
西階段の奥。誰もいない暗闇のなかで、彼女はひとり決意を改めるのだった。
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日向サク(プロフ) - ありがとう〜 (2017年12月14日 18時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
しょーり - サイコー!! 大好き!! キュンキュン!! (2017年12月14日 18時) (レス) id: d8a6f4a6f4 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - とってもいいです!!最高です!!応援しています!更新頑張って下さい! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f65f9d6e58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向サク | 作成日時:2017年9月16日 10時