42話 風紀紊乱(びんらん)へと ページ43
・
なずな先輩は、「ふんっ。」と勢いよく己のスマホを突き出した。『Ra*bits』をイメージしたのか、青と白のパステルカラーに兎のシルエットが入った愛らしいカバー。ーーー思わず凝視してしまった。
(いや、わたしスマホ持ってるけど……。せっかく差し出してくれてるのに、わざわざ言うのも無粋か。)
「教えてもらったら、意味ないんじゃ……? 変にならない程度にアドバイスしてね。 なんかこう、きもすぎない程度に〜……♪」
「そんな風にならないよ。失敬だな〜? に〜ちゃんは、先輩だぞっ!」
「そういうところだよ、『なずにゃん』。」
「何がだ!」と突っかかる。 私みたいにごちゃごちゃ考えすぎる奴にとっては、案外こういう純情可憐なタイプが鬼門だったりするものだ。読みにくく、とっつきにくい。
「ちょっと、あんたら。 真面目にやらないなら帰ってもいいんだよぉ?」
「あっ『ワカメ』……は〜ざいまぁす」
「はいはいおはよう、って。 なに呑気に挨拶かましてくれちゃってるわけ? 言いたいこと沢山あるけどさぁ。あんた、朝ご飯食べてないんでしょ」
朝食は、食べてない。 早く家を出て、いち早く学院に着く必要があったから。軽食くらいなら購買部にでも売っているだろうから、そこまで心配はしていない。
「食べてないけど。 お財布あるだろうし、べつに平気じゃないかなぁ……って、ありゃ」
「無いんでしょぉ? ほぉら、無いんだ…。 ほんっとありえない、俺なら部活放置してでも健康を優先する……これ、常識だよねぇ?」
「迷惑が掛かるんだからねぇ。」と何よりもそれを嫌っている泉先輩にとっては、痛い支出でもある。 足枷やお荷物になるようなことは、あってはいけないと。 見上げたプロ根性だ。
「うるさ……兄者が二人いるみたいだね。 お小言大っ嫌い。 先人の烏滸(おこ)がましい知恵とか、そんなの聴きたくな〜い……♪」
「いいよ〜、やるよ…。 わたしは別に、心配されるために来たわけじゃない。 ……泉先輩がせっかくいるんなら、試合でもしようか。 時間、もったいないよ?」
ベンチに座る私を、瀬名泉ーーー泉先輩は上から見下ろす。 冷ややかだ。 どうして言う通りにしないのか、と。 当然でしょ、わたしは誰の指図も受けない。
「A、無理にとは言わないぞ? 自分で考えて、参加できそうなときに入ればいいから」
「いや、ほんと大丈夫。」
「はぁ……。 まぁ一回懲りればわかるだろ」
135人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒羽 - はい!!応援しています!でも無理しないでくださいね!!(*´ω`*) (2017年4月26日 22時) (レス) id: c7e72736b7 (このIDを非表示/違反報告)
日向サク(プロフ) - 黒羽さん» おはよう!コメントありがとう、嬉しいです!なかなか夢主の印象を聞く機会が無いので凄く助かるよ!これからもよろしくね!頑張っていくよ〜>* ))))>< (2017年4月26日 6時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
黒羽 - 夢主ちゃんが超かわいいです!これからも楽しみにしてます! (2017年4月26日 6時) (レス) id: c7e72736b7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:日向サク x他1人 | 作成日時:2016年12月27日 21時