28話 激励の彷徨 ページ29
・
くちゃくちゃ、3年の敬人先輩と兄者が雑談をしている。本当に「素直じゃないのう」「健在か?…あぁ、見るからに健在じゃ♪」などと、近所のおじいさんみたい。まぁ、私はこの隙に逃げるんだけど……。
(兄者といることがバレて、何かあらぬ勘違いがされませんように。いてほしくないけど目撃者がいるのなら、ど派手にすっ転びますように〜)
(そしてそのまま記憶共々、すべて吹っ飛べ)
____
____________
〈放課後〉
放課後の学院は、お昼どきよりもよっぽど賑やか。「ノン!ゼロコンマ2秒遅い!」と、強烈な怒号が聞こえる。レッスン室から聞こえる叫声に肩を震わせて、誰だろうと中を覗こうとすると___。
「あんずさあああん!どうして逃げるんだっ? すまんっ、愛の不配は良くないな!望み通り、平等に分配するとしよう……☆」
「ん?訳がわからない? そんな可愛いらしい顔で睨まれても怖くないんだが!……いたいっ、怒らないでほしい!よしよし、いい子だから!」
(えっ、あんず……?)
聞き覚えのある名前に、思わず向かいのレッスン室を振り返った。あんず、ってあの……?傘を差してくれた優しい女の子のこと?中にいるらしい男だけが、一人で騒いでいるように聞こえるのも俄然(がぜん)納得がいった。
−−−私は、迷わず扉を開く。
「失礼して〜っと…? あんず、って聞こえたんだけど。あんずは____あぁ、いるいる」
「うん? 君はたしか、零さんのご家族ナンバー2番の……」
「はぁ? なんだって…? わたしが、あの性悪に次ぐ二番手? 失礼なことを言わないでもらえる? …えぇ? あんたにわたしのベイストロンリーな気持ち、分かるの?」
「えっ、あぁすまんすまん!?」
いきなり突拍子も無いことを言われて、永らくぼうっと突っ立ったままだった男、三毛縞斑(前に兄者から自分の知己だと一方的に話されて、理解はしているんだけれど)。
分からないよね。私の気持ちなんか。どこの誰が孤独を知ってあげられるって言うんだよ。同情のしようもないし、見ず知らずの女にそこまでやってやるほど人間『できて』いない。
135人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒羽 - はい!!応援しています!でも無理しないでくださいね!!(*´ω`*) (2017年4月26日 22時) (レス) id: c7e72736b7 (このIDを非表示/違反報告)
日向サク(プロフ) - 黒羽さん» おはよう!コメントありがとう、嬉しいです!なかなか夢主の印象を聞く機会が無いので凄く助かるよ!これからもよろしくね!頑張っていくよ〜>* ))))>< (2017年4月26日 6時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
黒羽 - 夢主ちゃんが超かわいいです!これからも楽しみにしてます! (2017年4月26日 6時) (レス) id: c7e72736b7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:日向サク x他1人 | 作成日時:2016年12月27日 21時