恋日和* 【なかなか晴れてくれません】 (ページ5)

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どこに向かって走っているのかというと
それは…結城くんのところだ。

｢待って……結城くん！！｣

ちょうど大きな桜の木がある中庭に来たところ､私は精一杯大きな声で彼を呼び止めた。
天馬くんと話していた結城くんは私の声に気が付き、振り向いた。

｢私、七瀬Aです！
あの、本当に自分でもなんで結城くんを追いかけたんだろうとか
自分の気持ち、行動理解できてなくて混乱してるんだけど
でも伝えないといけない気がして、というか伝えたくて！｣

私にこんな行動力があるのかと驚きながらも、焦りすぎて自分が何を言っているのかわからない
私がわからないのだから向こうは当然わからないだろうに

彼の表情は先ほどと変わらずずっと無のまま

それでもお構いなしに私は話し続けた。

｢結城くんと目があった時、すっごいドキドキして…その…息ができないくらい！思わず見つめちゃう感じで！
こんなの初めてで私びっくりで、体の熱がぶわってなって!｣

｢………｡｣

｢でもきっとこれが……

私っ結城くんのことが好きになっちゃった！
あなたに…恋しちゃいました!!!｣

そんな私のびっくり発言に隣で静かに見ていた天馬くんも
｢えぇっ！？！？｣
と思わず声を出してしまうほどで

気づけば私に追いついていたすみれちゃんも驚いていてこちらは声すら出てこないみたいだった

そして結城くんはというと…

｢…………そう｣

それだけ言って一人で歩いていってしまった。

追いかけてべらべらと話した挙句、告白までした私もけっこうなものだど思うけど、彼も彼で変わっているというかなんというか

だんだんと冷静になってきた私はまだ残っている熱をどう消費すればよいのか、呆然と立ち尽くしてしまった。

彼が去ってからどのくらいだったのだろう…
いや多分1分もたっていない
沈黙を破ったのは天馬くんの言葉だった。