【学園アリス】MEVIUS Ⅷ (ページ44)

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先ほど殿内先輩が手を固く握りしめていたのは石を作っていたからだったのかと納得

殿内先輩の言葉に敵意剥き出しの人が若干名いるがそれはさておき
責め立てる人を説得しようと殿内先輩が必死に説明をし始める

殿内「まって!まてまて!『Z』事件で蜜柑に俺のアリスストーンを持たせた時、俺のアリスと蜜柑が相性良かったって話したことあったろ?蜜柑にもし『入れる』アリスがあったらこの荒療治で体内で飲み込んだ石を吸収する可能性があるかもしれねーって思ったんだよ。…てことは俺の『増幅』のアリスで蜜柑の中の『入れる』アリスがより目覚めやすく且つパワーも増すってことだろ?」

静かに聞いていた周りだが、殿内先輩の暴論にやや納得がいっていない様子
しかしやけに静かな蜜柑を気にして、蜜柑の方を見ると熱っぽさを本人が感じている

…これはやはり「入れる」アリスが目覚めたのではないだろうか
殿内「え」

「…自分でやっておいてその反応はダメでしょう、先輩」

思わずため息をつくと蛍が蜜柑に駆け寄り、殿内先輩にアリスストーンをもう一つ寄越せと言い放つ
瞬時に石を作り上げた先輩は蛍に石を渡すと、そのまま蜜柑に石を握らせる

その途端消えるかのように一瞬にして溶けていく石
…蜜柑の中にすーっと溶けるように入りこんでいったという方がいいだろうか

蛍「…はやく!石を持ってきて片っ端から試すのよ!私たちの体に合う石を!時間はもうないわ。無事に皆で戦い抜く為に今できることを全てやりきるのよ」

蛍の言葉に全員が動き出す
落ちていた石をかき集めて持ってくる先輩や翼

蛍「がんばれるわよね?蜜柑。ここはあんただけが頼りよ。皆に力を分けて」
蜜柑「…うん!」

蛍に奮い立たせられた蜜柑は送られてきた沢山の石の中から石を掴み取り、それを色んな人に押し当てていく

「…しゅ…」

柊人、と呼ぼうとすると「わかってる」と返される

「流石…」
流石の反応速度に思わず笑みをこぼす

柊人はピアスを緩めると、蜜柑の肩に触れてアリスを使う
テレパシーのアリスは特別
コピーのように受信している間だけ、そのアリスが使える

いつもサポートとして動き回って貰っているから私が何を言おうとしたのかわかったみたい

蜜柑「ありがとーな」
柊人「…いいよ」

ちょっと照れた顔を隠すようにそっぽを向く
可愛らしいその仕草に年相応だなと感じてしまう

「…相性があるから、これだけある石がそれぞれ一つずつ入れば良い方だと思う。頑張って蜜柑」