【学園アリス】MEVIUS Ⅷ (ページ38)

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Contents(67)-ο ページ38

殿内「現代に戻れば慌ただしくてきっとそれどころじゃないだろうからさ」

蜜柑の手のひらを開かせてそこに自分の石を握らせる
蜜柑「これ…アリスストーン…」

殿内「ほっしゃんのときにやったようなことは何もしてやれないけどせめてものの花向けにもってけ蜜柑」
「賛成」

先輩は「だろ?」といって笑った

殿内「追われるような形で学園を出ていくんじゃなくて、お前はちゃんと過去と未来をみつめて学園の外へ行く道を選んだだけなんだから。今まできっと色んな石がお前のお母さんやお前を守ってきて…だったらお前ももってねーと。これでお母さんのことしっかり守ってやれよ」

膝をついて、蜜柑の背よりも小さくなった殿内先輩が蜜柑の手を握る
先輩の言葉にみんなそれぞれ手を握って石を作っていく

勿論私も

全員が石を蜜柑に渡していくが棗だけ石を作るような素振りは見せなかった

あげないのかと思った時、蜜柑の首元を指さした
それに気付いて首につけていたチェーンを引っ張り出すと一つの紅の石
蜜柑は顔を押さえて涙を流す

野田「…では戻りましょう、現代へ」

のだっちの声に頷くと、すぐに変化が訪れる
今まで鮮明に目に映っていた周りの時空の壁がぐにゃっと曲がる

エレベーターに乗った時のように一瞬浮遊する感覚になると、すぐに目の前が移り変わった
…現代に戻ってきたのだ

「…何これ」

しかし目の前には高校長や杏樹はいない
荒らされた形式のある高校長室に戻ってきた私たちは突然のことに頭が追いつかない

壁にかかっている時計を見れば、過去に飛んだ時よりも1時間進んでいるのが確認できる

蜜柑「校長先生…ナル先生たちは!?櫻野先輩や蛍のお兄さんも…何で誰もいーひんの!?」
殿内「まさか…高等部にまで初校長の手が!?お互い暗黙の不可侵があるのに何でそんな真似…!俺らが過去へ行ってる間にここで何が…」

焦るみんなをよそに私はのだっちの肩を叩いて時計を指差す

「…のだっち」
野田「…時間がずれている。時空の波のせいもあって、私たちが出発したよりも1時間後に戻ってきてしまったようです。その1時間の間にここで何が…。高校長と、みなさんの安否はまだ分かりませんが…ここを出発した時刻近辺に戻ってきていたら私たちの身にもおそらく何かが起こっていたのでしょう」

「ある意味好都合と捉えてもいいかもね」
柊人「でも校長先生達の行方を探さないと…」

私の声に被せるように柊人が言うと、部屋の入り口から誰かが覗いている事に気づいた