【学園アリス】MEVIUS Ⅷ (ページ36)

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突如として空から降ってきた聴き馴染みのありすぎる声に鳥肌が立つ

『それならそれでもいい。しかし私という切り札がいなくなることが果たして君と初校長(あの男)のどっちにとって得となるかを君はちゃんと考えたことがあるのかい?』

酒場のような場所に大勢の人たちが酒を飲みながら喋っている
中心には椅子に腰掛け、煙草を片手に柚香さんと志貴さんに話しかけるボスであろう姿が見える

『…手を組まないか?私と』
柚香『…あなたは何をいっているの?…何者なの…?』

柚香さんの疑問にボスは笑みを零す

『最終目的は違えど我々の目下の敵は同じ…。敵の敵は味方だろう柚香。私の下で君が裏切らない限りは我々は君たち2人を保護・支援しよう』

煙草を灰皿に押し付けて火種を消し、改めて柚香さんに向き直る

『柚香、君の力が欲しい』

悩んでいる柚香さんに再びボスは笑って言う
『協定は成立かい…?』

そしてノイズがかかる

やけに頭に残るボスの声に私が頭を振っていると翼が我慢できずに話し始める
翼「どういうことだよ、これ!『Z』のボス…こいつ初校長のクローンなのに初校長を共通の『敵』って…」
「ちょ、翼…」

思わず翼の手を引くと柊人もこれはまずいと思ったのか同じように翼を止めようと肩を掴んでいる

翼の問いにのだっちは黙ったまま
それに応えるように柚香さんと志貴さんの話し声が再び流れ始める

柚香『あの男(ボス)は初校長にとって「誤算」のクローン…?どういう事』

部屋の中で佇む2人
その話の内容はZのボスについて

志貴『馨先輩の遺品からあの男(ボス)の出自に関する情報を見つけた。あの男は同じクローンでも初校長(オリジナル)によるものではなくクローン(コピー)から生まれた人間で、他のクローンと比べて一番初校長(オリジナル)との繋がりが希薄なんだ』

志貴さんの説明に必死に頭を働かせる
初校長から生まれた訳ではないボスはつまるところ計算外のクローン
初校長の意思で作り出されたものではない

志貴『つまりクローンによるクローン(コピー)を繰り返された果てに生まれて、クローンと初校長(オリジナル)との絆であるテレパシーや意志の統一性が誰より希薄な上に、みたとこ初校長(オリジナル)に対する反骨精神も野心も高く、初校長にすれば計算外の「亜種」といった可能性が高い』

困惑している柚香さんに志貴さんはわかりやすくしようと説明を付け足していく

柚香『それって…』