【学園アリス】MEVIUS Ⅷ (ページ31)

今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:14,535 hit

｜ページ31

爺『娘さん、あの人達はもしやあんたを怪我させた人なのかい?』

しかし振り返ってすぐお爺さんは言葉を失った
…柚香さんが動かぬ体のまま瞬間移動体制に入っていたからだった

爺『娘さん!あ、あんた体が…!』

驚いているお爺さんに柚香さんは涙ながらに訴える

柚香『おじいさん…お願いです。あの子を…蜜柑をよろしくお願いします…。どうかお願い…』

頭を下げた瞬間に柚香さんの姿は見えなくなる
その途端無理やり開けられた玄関から複数の学園関係者が足を踏み入れてくる

『あの女を探せ!』

しかしお爺さんは呆然と…ある一点を見つめたまま来客に対応することはなかった

外の雪の中に瞬間移動してきた柚香さんは、動かない体のまま小さく蹲り、もうそこにいない蜜柑の名前を呼びながら涙を流す

柚香『よかった蜜柑を連れてこなくて…。こんな状況じゃ、あの子の命の火を消してしまう所だった…』

声を上げて泣く柚香さんの姿を蜜柑は顔を押さえながら一緒に泣いた
…もう柚香さんが蜜柑の安否を気にしてお爺さんの家に訪れることはない

何度もあそこへ通えば何か柚香さんと関係があるものだとバレてマークされてしまう
そうなれば蜜柑の事も何れバレてしまう事になる

…ここから孤独になる

蜜柑「蛍…みんな…ごめん。ありがとう…」

泣きながら必死に言葉を紡いでいく蜜柑

蜜柑「ウチ…外へ行きます。…あの人と、お母さんと一緒に外の世界に行く…」
蛍「蜜柑!」

蜜柑のくだした判断に蛍は自分の側へ蜜柑を引き寄せる

蜜柑「ごめん…」

目を固く閉ざして謝る

蛍「外に…あの人と、外に行けばずっと逃げ回る日々でみんなやおじいさんとも会えない日々がいつまで続くかわからないのよ…。それでも行くのね…?決めたのね…?」

確認するように蛍が問いかけると蜜柑はゆっくりと頷いた
全てわかっているように

蜜柑「…きっとどれだけかかってもウチ…。みんなを探し出して会いにいく…。絶対!…今はお母さんのそばにいて…ウチがお母さんを支えてあげたい…。これ以上お母さんを1人にするのは可哀想や…。ウチ…お母さんに会いたい…」

今まで過去を見てきて蜜柑が自分で決めた事
それを反対する者は誰1人としていない

だって蜜柑の事がみんな好きだから

蛍「泣かないで蜜柑。こうなることもうわかってたわ。離れてもずっと会えなくっても大丈夫よ、私たちなら。絶対」

蜜柑の手を取ると自然と蛍の目から涙が溢れてくる
お互いに見つめ合い、確かめるように