【学園アリス】MEVIUS Ⅷ (ページ25)

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馨『あたしはアリスとしてここまでもがいてきた道を少しも後悔してない。あんたらと出会ったことも…どんな苦しみも喜びも１つも無駄な事なんて無かった。だからあたしは苦難に出会わへんことが幸せな人生やとは思わへん』

薄らと馨さんに先生や杏樹の顔が重なる

馨『アンタがこの子の為に先回りで安全な道を用意するよりもこの子の全てを受け入れて…この子が真っ直ぐ自分の道を歩いていけるように愛して支える事があたしら(親)の役割とちゃう?』

馨さんの一言一言を噛み締めるように柚香さんは頷く
瞬きをすると涙がこぼれ落ちる

馨『この子に自分らしく生きる道を、可能性を残してあげて』
そういうと柚香さんの頭を再び撫でる馨さん

学園で育った親達は反感こそあれど、アリスとして生きる意味を見つけている
以前杏樹に自分のアリスを愛すように言われた事がある

杏樹だって過去の事を踏まえても、アリスを好きになりアリスとして生きる意味を見つけたのはとても大変な事だったと思う

再びノイズがかかると、椅子に座った柚香さんにお茶を出して今までの情報交換をしている馨さんと旦那さんが映る

馨『そっか…事情は聞いていたけど色々あったんやな、柚香』
柚香『馨先輩こそ結婚してたなんて…。しかも先輩も妊娠中だったなんて…。し、しかも旦那様があの時の方とは…』

教室でばったり出会った時のことを思い出して顔を赤くする柚香さん

馨『アハー責任とって(?)ムコにとりました』
柚香『え…えっと…お久しぶりです。あ、あの出産の時は大変お世話になりまして…』
『奥さんの出産の前にいい経験になりましたし、お気になさらず…』
馨『いや気にするだろ』

2人とも恥ずかしながらペコペコ頭を下げている
その様子をみて馨さんは思わずツッコんだ

暫くすると柚香さんは馨さんに貰った名刺を眺めながら言った

柚香『先輩のお仕事、フリージャーナリスト…。あれ?住所不定って…』
馨『まー危険と隣り合わせの活動してるしな。転々とね、ここも仮住まい』

その返しに柚香さんは目を丸くした

馨『あたしもあんたと同じ学園のお尋ね者。学園を出てからずっとあたしは各地に散らばっている初等部校長のクローンについて調べている。そしてその実態や悪事を世間に知らしめるために高校長やユッキー達と連絡をとって追い詰める所まできてたのに、まさかユッキーがあんなことになるなんてな…』

遠くを見つめて何かを考えている