【学園アリス】MEVIUS Ⅷ (ページ19)

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怒号が岬先生を責め立てる
しかし岬先生は先ほどまでそこにいた柚香さんを見つめたまま固まっている
杏樹は涙を浮かべたまま動かない

…これが杏樹と柚香さんの最後だったんだ

忙しない過去は柚香さんを追っていく

柚香さんは瞬間移動で高等部校舎の一角に出てくる
それを偶然歩いていた志貴さんが見つける

…絶対高校長の元に戻ってくるだろうと踏んでいたからだろうか
志貴さんの後を神野先生と高校長が追って駆け寄ってくる

志貴『柚香!』

動くのもやっとな柚香さんを支えて、高校長室に入っていく
椅子に座らせて話をしていく

高校長『追手に見つからず無事にここまで辿り着けてよかった…。姫様のこのアリスストーン、これが彼女を守ってくれたのかもしれないな』

柚香『校長、志貴さん、神野先生…。勝手な事をして申し訳ありませんでした。…私…』
謝り始めた柚香さんに高校長はそっと近寄り、頭を撫でる

別に柚香さんの所為ではないと言っているよう
柚香さんは頭に添えられた高校長の温もりを感じながらまた涙を溢れさせる

高校長『ここにも既に君を追う者達からの連絡はきている
だが、君を外へ逃がす間彼らを足止めするくらいの事はできる
柚香、外で生きていく決心はもうついているか?』

泣いている柚香さんに高校長は告げていく
柚香さんは腕で涙を拭ってまっすぐに前を見る

柚香『はい…』

高校長は静かに『そうか…』と言うとびっくりしたような顔になって柚香さんの身体を見つめている

高校長『柚香、君はもしや泉水の子を…』
柚香『え…お腹に…先生と私の…?』
神野『校長、まさか例の光が…』

突然の事にこの場にいる全員が驚いている

高校長はアリス保持者を見抜く目を持っている
その校長に光が見えたと言うことは…

柚香『校長先生に光が見えるということはお腹の子がアリスだということですか…?』
高校長『…そうだ』
涙を浮かべた柚香さんに高校長は頷いた

先生はもういない
しかし柚香さんのお腹にはアリスが宿った子どもがいる
お腹を抑えて柚香さんは嬉しそうに涙を流した

これが柚香さんと先生の子であり、蜜柑…

自分がそこに存在したのだと知った蜜柑も驚きと嬉しさの表情を浮かべている

柚香さんは高校長達に連れられて、見覚えのある高等部の「穴」の扉の前に案内される
柚香『ここは…?』
高校長『今、詳しく説明してる暇はない…。君を…ここから学園外へ脱出させる。こんな形でしか力になれなくてすまない…』