【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ9)

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蜜柑の髪の毛を掴むと強く引っ張り上げる
…やりすぎだ

私が思わず膝を浮かし、立とうとすると小泉さんの髪の毛にボッと音を立てて火がつき燃え上がる

…どうして
この場に彼はいない筈なのに…

小泉さんは悲鳴をあげて蜜柑の髪の毛を離す
自分の髪の毛を必死に叩いて火を消そうとしている

アリスの火がそう安易と消える筈もないがすぐにその火は消えた
ぐっと蜜柑の腕を引っ張り、自分側に手繰り寄せたのは颯

しかし颯の髪の毛がパサッと床に落ちる

「…ウィッグ」

私は疲弊している頭がはっきりしていく
そういえばよく見ると颯の背丈とは少し違う

ウィッグが落ちると、そこには中等部の制服を着た棗の姿がある

こうまでして蜜柑を守りに来たのは凄い

蜜柑「棗…!」

この部屋にいる全員が棗に意識を集中させている
のばらは小泉さんに心配して手を伸ばそうとしている
…優しい子だから

瑠衣先輩は隣に立っていた颯が偽物だったと思い知ると困惑している
困惑しているのは私も一緒だけれど

柊人「棗…なんで…」

月「よくも…」

私の隣で呟く柊人の声と小泉さんの声が交差する

初校長「わざわざ任務を割り当ててこの場から外させたのに
どうあってもこの娘の騎士(ナイト)気取りが抜けないようだね、お前は」

…だからだ
こんな日中にわざわざ任務を、それも1人で割り当てたのだ
棗が不審に思わないわけがない

最近は専ら柊人達とチーム任務だったのに急に1人になるのはおかしい
最近の初校長の行動からしても1人に割り当てる任務を回してくるのは中々無いだろう

初校長「馬鹿な子だ。まあわかっていたよ
お前が何らかの手でここに来るだろうことは。さてどうするつもりだ?」

棗に呆れている初校長の目は途端に冷え切ったものになっている

ペルソナ「…のばら」

すぐ近くではペルソナが再びのばらの名前を呼ぶ
そろそろ動け、と

それにギクっとしたのばらと目が合う
どうしよう、そんな感情が見え隠れしている

私は小さく首を横に振る

ここでのばらがペルソナに逆らう理由はない

初校長「そこで立ちはだかってお前に何ができる
どんなに抵抗したところで所詮、籠の鳥
お前達に事態を変える力も逃げる場所もない」

その言葉に私は背筋が凍った

籠の鳥、私もそう揶揄された
お前達というところで一旦棗から目線を外し、私と杏樹を見る

力はない…か
そうかもしれないが、やらなければいけないことというのは強い拘束力を持っている