【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ44)

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月『変なのだっさー。ルナが今度もっといいの作ってあげる〜』

風呂敷を抑える柚香さんの手を小泉さんがとって手を引いて走っていく
それを見つめている先生

そして角を曲がってしまい、先生の視界からすっかり2人は消えてしまった

蛍「この頃の小泉さん。私達の知っている彼女とはまるで別人ね」

今の様子を見ていた蛍がそっと口を開く

野田「初めから悪い人はいません。…と思います多分」
曖昧に濁して答えるのだっち

私もそう信じたい

ため息をついて過去の様子をのぞけば、時が過ぎて初等部の卒業式になっていた

泉水『卒業おめっとござぁーす!中等部行っても「忘れじ我が師の恩」夜露死苦!』
花束を両肩に担ぎ、当て字の言葉を口にする

それにピキッときた神野先生が死んだ目をしてぐちぐちと言っている

神野『あのボキャブラリーで国語教師…。息をしているのも許しがたい…』
担任『神野君…。ほら彼、漢字はああみえて得意だから…ね?』

先生に飛びつかないように担任が神野先生を落ち着かせている
当の先生は初等部生達に飛びつかれ、もみくちゃにされていた

先生の体に触れている多くの生徒は泣いている

遠くからその様子を眺めている柚香さん
何だかとても寂しそうな顔をしている

そしてそこに小泉さんが話しかけにくる

月『馬鹿ね、あの子達。行平先生が中等部に行くわけないじゃない
行平先生はあんな普通の子達より、私達特別生徒の事で手一杯だもの』

柚香さんにしか聞こえないような声で噂話をする

月『卒業しても私達はいつでも先生に親身になってもらえるけど
ま、あの子達は忘れられちゃうわね。ほら、あそこ』

そういって木に寄りかかっている小さな少年に指をさして柚香さんの注意を向ける

小さいけれど今と何も変わらない
木に寄りかかっているのは金髪の杏樹

月『先生は今もっぱらあの子にかかりっきり。A組なのにもう任務を任された
アリスのものすごく強い子で、確かフェロモンのアリスの…名前は何だったかな…』

必死に思い出そうとしている小泉さん

その横で杏樹の事をじっと見ていた柚香さんと、杏樹の綺麗な瞳が一瞬だけ合う
すぐに先生が声をあげて柚香さんと小泉さんの名前を呼んだので柚香さんはすぐ視線を外した

本当に一瞬の出来事

小泉さんは柚香さんの手を取って何処かへ走っていってしまった
それを見つめる先生と杏樹

蜜柑「今の…もしかして鳴海先生…?」
小さくても目立つ容姿に蜜柑が気づく

「…そう、ね」