【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ39)

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手を組んで顎を乗せる
その風貌はどこかの悪役のボスのよう

初校長『そういった子はアリスに多大な有用性がある反面
強大な力を持つ分、他の子と違って扱いが難しく
ともすれば時に力でもって制しなければいけない時もある』

その言葉に一瞬ピクッと眉を動かす先生
それに気づいたのは私くらい
初校長ですら気づいていない

初校長『だが行平先生。あなたの無効化のアリスをもってすれば
今まで処罰やかん禁などハードな接し方をしてきた彼らに対して
彼らのアリスを無効化できるあなたは心を通わせられる
…つまりソフトに彼らを懐柔できる』

処罰やかん禁…
生徒に対してそのような接し方しかできないのであれば何のための学園なのだろうか

初校長『怖れられる力にはそれだけ、征服したくなるだけの影響力がある
彼らの力をうまく利用するためにも君には是非、頑張ってもらいたい』

まるで生徒を自分の傭兵のように扱っているその発言
利用する、という言葉は私はとても嫌い
…なぜなら私も初校長に利用されているから

手を強く握りしめるとまた過去の場面が移り変わった
季節は冬
生徒達は冬服の制服を身につけている

『ねーねー今年のバレンタインは誰にあげる〜？』
『あたしユッキー!』『あたしも行平先生〜!』

バレンタインの話題で盛り上がる女の子達
学園のバレンタインは恐怖の行事
それは昔からいくらも変わらないようだ

その話題を近くで死んだ顔で本を読みながら聞こえないフリをしている柚香さん

『今年は初等部最後のバレンタインデーだもんね〜!』
『ユッキーって中等部や高等部のおねーさん方にも狙われてるんだってー!』
『うっそー若さでは負けないもん!』

急に先生がモテている話になった瞬間に柚香さんがガクンと肩を落とす
そして何も見ていない、聞いていないといったように再び本に目を落とすと
違う人物から話しかけられる

『あ…安積さん。あ…あの私…』
ドギマギして話しかけてくる人物に困っている柚香さんを先ほどまでバレンタインの話題で盛り上がっていた3人組が連れ去っていく

『ねーねー!柚香ちゃんはどんなチョコあげるのー!?』
『誰にあげるの!?もしかしてユッキー!?』
『えー!ライバル発見!!つぶしちゃおー!』

物凄い勢いと声の大きさで柚香さんを連れ去っていき、当の柚香さんは何が起こったのかわからない様子でつんつんと頬を突かれている

『な〜んてね!ばかねー柚香ちゃんってば。あんな子に声かけられちゃって!』