【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ30)

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泉水『いつみてもすげーとこだよなー。アリス学園
一兄こんなとこの校長先生やってんだもんな
まあ一兄はここじゃなくても地元でも神様扱いだもんな!

それにしても本当に俺でよかったのかよ、教師
俺バカだし、ガキには好かれっけど大人受け悪いし
教員免許も結構危ない橋渡ったし…』

一巳『知ってる。見ればわかる』
泉水『幾ら珍しい無効化…のアリスだからってさ…』

会話をしている2人のすぐ傍を若い神野先生が歩いている
何となく行平先生を睨んでいる気がする

一巳『この学園にはきっとお前にしか出来ない事が沢山あるさ
この学園に色んなアリスが存在するように、人にも色んなのがいて
いろんな考えをもつ奴もいる。こんな学園だからこそ
お前のようなある種、破天荒な人間の存在一つで救われる生徒もきっと少なからずいるだろう

お前の無理をきいた形で今回の教員採用へと運んだようにみえるかもしれないが
本当はこれは私の我儘だ』

今まで歩を一緒に進めていた高校長が先生の少し先を行く
木の影に入った高校長と陽が当たる場所を歩いている先生

一巳『私は正直兄弟の…家族への意識が希薄だ
幼い頃から学園暮らしでこの先も外界との接触は持てず、限られた人間のみに囲まれていくだろう
私にとってお前達家族はどんなに欲しても手に入らない諦めの象徴でもあった』

少し立ち止まって前を向いていた高校長が後ろを振りかえる

一巳『しかしお前のアリスが発現して正直見た目以外共通項の何もないお前と出会って
損得抜きで感情突っ走ってぶつかり、慕ってくるお前に呆れながらも
この学園では生徒でも…そう目にかかれない、本来の人の在り方を垣間みたような気がして
改めて私はこの学園を変えなければと強く思った

私がお前に感じたような光をここの生徒にも少しでも取り戻させてやりたい
お前がアリスであったこと、初めは複雑な心境でもあったが今ではその事に感謝している

結果お前と出会う事でお前のアリスは私の家族への絆をとりもってくれた
そしてお前が学園(ここ)に来てくれたことにも…

協力してくれるか?お前の力が必要だ』

高校長がそう言うと先生は思いっきり顔をくしゃっとさせて笑った
そして再び歩き出した高校長の背中に飛びついている

うざったそうにしているが満更でもなさそうな高校長に私は口元が緩くなった

やけに静かな皆を見ると、蜜柑が涙を流していて思わずぎょっとしてしまう
「…蜜柑?」

声をかければ「大丈夫」と返される