【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ27)

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泉水『柚香…チビ…。何だまた泣いてたのか
お前はいつみても泣いてばかりだなあ。何がそんなに悲しいんだか
言ったろ?学園(ここ)じゃみんなが家族だって』

…初めてちゃんと聞いた先生の声
今まで夢越しに覗いた過去では聞いたことがあったけれどここまでしっかり聞こえるのは初めて
夢越しだとやはり少しノイズがある

先生の胸を借りて泣いている柚香さん
私もそうやって泣いたことがあるな、と少し感傷的になってしまう

野田「佐倉さん、この声あなたのお父さんの声です」
のだっちが蜜柑に告げると途端にたくさんの声が聞こえてくる

『柚香』『ゆーか』『柚香先輩』『安積…』

私はそれに一瞬考え込む
誰の声かもわからない色々な人の声が柚香さんを呼んでいる

多分きっとこの中には杏樹の声も含まれている
沢山慕われていたのがわかる

なのにどうして全てを捨てなければならなかったのか
いろんな理由があったとはいえ考えさせられる

そして初校長に絶対に捕まってはならないと、強い思いが芽生える

私と一緒でのだっちも色々考えていたようだったがすぐにいつもののだっちに戻る
野田「…行きましょう。過去を辿って、その先へ。全てはここからです」

のだっちがそういうと時空も少し時が経ったのがわかる
一瞬だけ真っ白になった窓もすぐにまた学園の姿を映し出している

野田「ああ…時がちょっと進みましたね。ここは20～19年前
柚香さんが10歳あたりの頃です。柚香さんと先生の出会いの時です」

…全ての始まりの時
この出会いがなければ今の学園の姿などありはしない

窓の外では学園の門にスーツの上着を肩にかけ、スーツケースを転がした先生の姿が目に入る
柊人「先生…?」
「…行平泉水先生。蜜柑のお父さんで特力系クラス、そして危力系生徒の担任」
蜜柑「ウチのお父さん…」

私の言葉に蜜柑が確認のように呟いている

野田「…彼の無効化のアリスの発覚はこの時期からつい2～3年前のことで
この頃彼は22歳で新任教師としてこのアリス学園に初めて足を踏み入れました」

蛍「この時が初めての学園入りってことは…」
野田「そうですね彼はここで学園生活を過ごしたことはありません
無効化のように発見の難しいアリスに関しては彼のように成人してからのアリス認定というのも珍しくありません」

「蜜柑のようなケースは凄い珍しいんじゃないかな…
蜜柑は一般の世界ではなくて、学園教師のナルに直接見抜かれてるわけだからね」