【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ23)

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話しかけて止めようとした時、高校長の声がかかり杏樹を止めることを阻まれる

高校長「Aも行ってきなさい。大まかな事は知っていたとはいえ
君を深く巻き込みすぎた。すまない。…その目で全ての事情を見てくるといい」
「…校長先生」

私はこちらに残るつもりだったから意外だったが、言う通りに過去に飛んで全てを知ってこようと思う
私は確かに詳細を知らないまでも関わりすぎていた

柊人「…俺も行く」
「柊人も巻き込んじゃったからね、ごめんね」

謝ると別に、と返される
ふといなくなった杏樹の事を探せば、扉を開けてそこにいた「人物」をついに見つけてしまったのだろう

呆然と立ち尽くしている

…気づかれてしまったのならもう止める必要はない
杏樹には柚香さんと話す時間が必要だ

蜜柑達に目線を戻すと、今井先輩が蛍に近づき話していた

昴「君が真実を知る日がこんなに早く来るなんて予想外だったよ
過去の旅で真実を知って…帰ってくる頃にはきっとお互いバタバタして
いえないままだろうから、今言うよ」

今井先輩が蛍と初めて会った時、色々気遣っていたのを思い出す

昴「ずっと家族を忘れた事はなかった
こんなに早く君との別れがくると知っていたら
もっと兄妹としての時間を過ごせばよかった。すまない…蛍」

蛍の頭にそっと触れ、謝罪をする今井先輩の姿をみていると心が痛い

開いた扉の向こう側には杏樹と柚香さんがいるのがわかっている
扉の隙間から杏樹の姿が少しだけ目に入る

他の人たちは気づいていない
…まあ蜜柑の事を気にしている時間だし仕方ないけれど

何を話しているのだろう
扉の先では2人だけ、という空間が私をやけにもやっとさせる

何の話をしていても正直嫌だけど

野田「…そろそろ行きましょう」

のだっちが声をかけると今井兄妹はそっと触れていたお互いの手を離す

私も杏樹に向いていた意識をしっかりと戻す
柊人が気にしてくれていたようで私の顔を心配そうに覗き込んでいる

「…ありがとう、大丈夫よ」
そう言うと柊人は「別に」と素っ気なく言うだけだった

野田「先程もちらりと話に出ましたが、過去の世界に行くにあたって
このブレスレットのアリス妨害波を攻略できたとはいえ、完全ではありません」

これからの過去の旅への注意点を述べ始める
向かう場所がきっちりと決められているわけでも、帰ってくる時間が決まっているわけでもない

見切り発車の過去への旅