【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ21)

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癇癪を起こす蜜柑を宥める蛍
大人しく聞いていたが私は漸く口を開く

「…理解しきれていないのは当然のことだけど、蜜柑の立場はとても特殊なの!
事情を深く理解しきれていないうちからハナから全てを否定するような事を言わないで!
話を聞いて!そして少しでも蜜柑…貴方や私達学園に残る人たちの未来を考えて…」

啖呵を切る私にびっくりした蜜柑や柊人
杏樹でさえ隣で急に大声を上げた私に驚いている

野田「…Aさんの言う通りですね。佐倉さん、我々のする事があなたの事だけを
考えているかのようにみえるかもしれませんが、それはあなたの盗みのアリスが
初等部校長に渡ることを何より危惧する判断もあるからなんです」

よくのだっちの説明は回りくどくてわからないと言われているが
今この場においてはそれは有利に働く

野田「決して君だけを贔屓して日向君達を心配していないというわけではないのです
それだけ君と君のアリスが背負った運命は複雑で厄介に糸が絡み合っているんです」

「…当然急にこんなことを説明されて、全部を納得して貰えるなんて私達も思ってない
けど、危険なのは初校長に蜜柑のアリスが渡ることなの…」

のだっちの説明に私も少しだけ被せる

蜜柑「A先輩…のだっち…」

急に大声をあげてしまって申し訳ないとは思うし、怖がらせるつもりもない
どうにかわかってもらいたい、それだけ

棗「おい」

今まで黙っていた棗が急に声を出す

棗「お前らこいつがさっきからその垂れ流しの念仏みたいな説教で
お前らのいう通り動くだなんて思っちゃいねーだろうな。ガキをなめんじゃねえ」

柊人「…棗」

急に喋ったと思えば今度は棗が私達に説教をしてくる
柊人がソレに頭を抱える

棗「万一こいつが血迷って納得したとしても、俺は納得しねえ
どこの馬の骨ともわからねーやつにこいつは渡さねえ。説明しろ。
『安積柚香』が俺たちがこいつを託してもいいと思うような納得させるだけの人間か」

流架「…幾ら母親でも佐倉の納得のいかない人なら
俺らはあなたたちからも全力で佐倉を守ります
…佐倉は知る権利がある」

急に動いてきたガキ達に私は乾いた笑いをもらす
私達が動いてきた事を無い事にするような発言に思わず漏れ出てしまったもの

柊人も詳しい事情は知らなくとも、掻い摘んだことだけは知っている
私と目を見合わせて少しだけ微笑んだ