【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ3)

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殿内「ナル先生、蜜柑を連れて学園(ここ)を出るつもりなんですか?
『穴』の情報を知りたがったのも、ここ最近姿を眩まして外出していたのも
全部その為に…本気なんですか?まさかAまで…」

先輩の頭の中で全ての線が繋がれていく
わからなかった問題が解けた時のように

杏樹を見ると、真剣な顔をしたまま答えた
刹那、強い風が私たちの髪を揺らす

鳴海「本気だよ
先の事も考えず、あの時彼女を学園(ここ)に入学させた
これは僕のけじめだからね」

私が問い詰めた時と似た様な話をする
今杏樹は蜜柑の事を考えてこの答えを出した

私はそれに従うまで
彼と一緒に外の世界に出るだけ

鳴海「彼女がこのまま彼女の母親と同じ様な道を辿っていくのを
黙って見ていくわけにはいかないから…」

悲しそうな顔をした杏樹は私の顔を覗き込む

鳴海「…Aは置いていくつもりだったけど。それを許してはくれなかったね
元より許されるなんて思っていなかったけれど…
僕のけじめに付き合わせちゃう事になるのは少し気がひけるよ」

少しだけ口角が上がった杏樹
私にしかこの顔は見えていない

私はその言葉を聞いて少しだけ笑えてしまった
私の事を杏樹は思った以上によく理解しているみたいだった

…外の世界に出るのだったら情報を喋ってしまってもいいかなと思ってしまう

「先輩、美咲に言っておいてくれませんか。大丈夫だよって
私も大丈夫だし、翼も。絶対翼なら帰ってくるから、それを信じてって」

一呼吸置いた私は先輩にそうお願いする

殿内「あぁ、伝えておく」
先輩はそう言うと振り返って美咲達の元へ向かってしまった

「…もう自分の義務とかどうでも良くなっちゃった
何か私にもできる事あったら教えてよ」

諦めた様に言った私にナルはデコピンをしてくる

鳴海「悪に染まっちゃダメだよ。もし一度でも悪に染めたら戻れなくなるよ」
咎める様に私に言ってきたけれど、もう私は悪に手を染めてしまっているのではないだろうか

「もう半分闇に浸かっているよ
危力系の時点で悪に手を染めてしまっているから」

杏樹の家に向かって歩き出す私たち

鳴海「それは自分からやっているわけじゃない
学園側が悪なだけでAはまだ純粋でいい子だよ
僕はそう思ってる」

「…そうなのかな」

善と悪、という見分けをつけるのは果てしなく難しい
いつまでも終わることのない水掛け論

そのまま私達は杏樹の家に戻った