【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ17)

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「…無理やり外そうとすれば『跳ね返し』の影響を受けるよ
身につけている本人にも、外そうと力を貸した人にも」

何とかしようとしている柊人に私は遠回しに放っておけと言い放つ

柊人「…関係ない」
「誰かが私の所為で傷つくのがみたくないの!」

仮面に触ろうとした柊人の手を叩き落とすと、隣に立って杏樹の治療をしていた今井先輩の手が私の頭を叩く

昴「怪我など僕がその場で治せるのをAは知っている筈だが」
ハッとして私は今井先輩の顔を見つめる

櫻野「Aはそうやって他人に心配されるのが嫌いなようだからね
梵くん、やれる事をやったらいい」

櫻野先輩も今井先輩に乗じて言う
それに首をゆっくり縦に振った柊人は制御アクセサリーのブレスレットとリングを外す

…磁場操作のアリス

柊人「…磁場操作は便利だから」

あぁ、成程
私の顔と罰則面に同じ極を持った磁場を発生させれば反発で外れるというわけか

柊人が私の罰則面に触れ、ぐっと力をこめてアリスを使う
次の瞬間、バチバチと音と火花をたてて私の罰則面は床に落ちる

同時に切り傷のようなものが私と柊人、どちらの体にも刻まれていく

「…ありがとう柊人」
柊人「あぁ」

私は褒めて彼の頭を撫でると、柊人は笑った
杏樹の治療をしていた今井先輩がアリスの発動範囲を私と柊人にも広げる
…あっという間に傷は治って、何事もなかったかのよう

鳴海「…よかった」
「…ナルもありがとう」

杏樹にも微笑みかけると胸を撫で下ろしたのがわかった

全てを見ていた神野先生がそろそろか、という風に口を開いた
神野「状況は思った以上に悪い
…初校長が先延ばしにしていた今井蛍の留学を餌に佐倉を捕らえようとしている」

初等部総監督である神野先生の耳に入った情報は嘘偽りないだろう

…前から留学の話は出ていたみたいだが、蛍の必死の抵抗あって実行されてこなかった
特別研修生として異国の研究所に派遣するなど、かつてない処遇だ

期限はせいぜい1、2年だった筈だが今回の騒動でどうなったかは知る所ではない
別れの挨拶をしたければ鬼ごっこなどせずに出てこい、と
そういう事らしい

「…蛍だけでなくこの件に関わった人物は大方厳罰処分
私や柊人、棗はそれ以上の待遇が待っている事が予想できる」

私のその言葉に全員息を呑む
まあ逃げ切るつもりだから捕まるつもりは毛頭ないのだけど

「そういえば話しておきたい事があります」