【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ16)

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私の言葉を聞いた瞬間に神野先生が私に石を渡してくる
私はどんなアリスとも相性が合う
だから神野先生は私に石をくれたのだろう

強く念じてアリスを借りた瞬間、目の前の景色が移り変わる

外から建物の中へと変わったことで急に私は足がふらつく
…高等部の建物ということもあり、初校長の手から逃れられた安心感からくるものだと推測する

よく見慣れた高校長のいる部屋の前の廊下
目の前にある「校長室」と書かれた扉をノックし、中に入る神野先生

神野「失礼します。…鳴海先生、月城、梵をお連れしました」
高校長「神野先生…。ご苦労様です。Aも」
「はい…」

私はぺこりと会釈を交わす
柊人とはこの間ここで一緒に居たから大して驚いてはいないようだが杏樹は違った

私の顔を物凄く困惑した顔で見つめている

高校長「まずは鳴海先生とAの手当てを。今井君」
神野「…2人ともこちらへ」

私はゆっくりと歩みを進める
ふらつく足に鞭を打って無理やり足を進める

…何の状況も読めていない杏樹はまだ固まっている

鳴海「A…神野先生…。2人は一体…
神野先生、あなたが何故ここへ…」

傷の手当てをしようと事を進めている私たちに「答え」を求める杏樹

「…っ」
怪我をした訳ではないが、色々な理由でぼろぼろになった私の治療を開始する今井先輩
体が軽くなっていくのを感じる

神野「…もう大方お気づきでしょう。私達は高等部校長と志を同じくし
初等部校長の真の企みを阻止せんと影ながら動く、いわばチームのようなものです
…そこにいる月城は初校長のお気に入りとして、すぐ側で情報を仕入れてこちらに流すいわば『スパイ』」

私を見てくる杏樹と柊人の視線が痛い
私は思わず肩をすくめた

それと同時に私にアリスを使っていた今井先輩の手が止まる

…終わったみたいだ

「今井先輩、ありがとうございます…」
昴「気にする必要はない」

神野「私はいざという時の初等部での監視、調査役といったところです
…詳細は怪我の手当てをしながらお話致します」

こちらへ、と促され杏樹は漸く動き出した

高校長「…A、その罰則面は…」
「…私用に改造されたアリス罰則面です
色々あって体が不調で上手くアリスが使えず、結果的に悪い方向へ向かってしまいました
…すみません」

今井先輩に治療されている杏樹もバツが悪そう
櫻野先輩や今井先輩の顔にでさえ、影が落ちているのがわかる

柊人「…それ、俺のアリスで何とかなるかもしれない」