【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ13)

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確かに強がっている場合では無い

私と同様棗も体がしんどかったのだ

棗「追手がすぐそこまで来てる。…俺を置いて、お前ら先に行け
Aと柊人がいるんだ、逃げきれんだろ。なあ」

俯き、地面を見ている棗に名前を呼ばれる
だから私はお前の先輩だってば
いつも態度悪いけれど

「何言ってるのよ。今の状況の棗を置いてなんか…」
鳴海「蜜柑ちゃん、A。棗君と柊人君を連れて先に行きなさい」
蜜柑「え…」

棗を咎める私の声を遮って杏樹は言う
無謀すぎる

鳴海「僕がここで追手を足止めして時間を稼ぐからその間に逃げるんだ」
「ナル…何言って…」

私は杏樹の肩を掴むと彼は気まずそうに笑う

鳴海「大丈夫。後から必ず追いかけるから。Aも行って」
「却下。…ナルを1人には出来ない」

そう言うと諦めたように彼は肩を竦める
その後棗に寄り添う蜜柑に膝をついて背を合わせ、向き直る

蜜柑「先生…」
鳴海「大丈夫。中等部の花姫殿に向かうんだ
そこへの行き方はもう知っているね?あそこの結界なら初等部校長の目も届かない
うまく潜り込んで…あそこで落ち合うんだ」

やっぱり目指す場所は花姫殿だった
きっと姫様なら私たちを守ってくれる
…内心面倒な、とかは思ってそうだけど

蜜柑にそう告げると一瞬私の顔をみた杏樹

鳴海「蜜柑ちゃん、お昼に…大事な話があるって言ったよね。…聞いてほしいんだ」

…ああ、だから私の顔を見たのか

鳴海「一緒に外の世界に逃げよう。「外」で生きるんだ。Aも連れて…」

そう告げる杏樹に蜜柑も棗も柊人でさえも顔が凍る
柊人「っち…。どーいうことだよ、A先輩…」

どんっと私の背中を拳で強く叩く柊人
さっきまで心配してくれていたその手は裏切られた(・・・・・)ように私を恨みつけている

「ごめん…」
この件に関しては内密に柚香さんの計画も進んでいる
柊人はそれを知っていたからこそ、私に拳を叩きつけてきたのだろう

鳴海「もう事態がここまできてしまった以上
あの校長の下で今まで通りのまともな生活を取り戻す事はもう無理だ」

蜜柑「鳴海先生…A先輩…」
鳴海「突然で、今の蜜柑ちゃんには酷な提案かもしれない
でも、受け入れてほしい。このまま君がこの学園で大人になっていくのを
黙って見ていく事に僕はきっと耐えられない。…Aもね」

唯、呆然と杏樹の話を聞く蜜柑に私は重たい頭を下げた