【学園アリス】MEVIUS Ⅵ (ページ12)

今日:32 hit、昨日:1 hit、合計:18,458 hit

｜ページ12

皆でベアに駆け寄ると、よく聴き慣れた声が蜜柑の名前を呼ぶ

蛍「蜜柑!」
蜜柑「蛍!みんな…何でここに…」

砲を腕につけた蛍の後ろからは飛田くんや流架、スミレなど蜜柑のクラスメイトがたくさん出てくる

蛍「あの後、あんたを追って皆でここに…
そしたらあんた達が追われてる姿を見かけて…」

そうか蜜柑を助けようとして追いかけてたのか
…私はこの状況が移動教室の合間に始まった事だったな、と思い出す

「おい、いたぞ!」

会話を遮るようにテレポートで次々とやってくる風紀隊
数が多いからまいてもすぐに援軍がやってくる

しかし次の瞬間笛の甲高い音が短く鳴り、鳥によって風紀隊が攻撃されている

流架「みんな早く…!」
棗「流架…」

流架がアリスで動物を上手く使い、風紀隊の足止めをする

流架「ここは俺らが何とかする!棗、柊人…佐倉を…!早くいけ!」
柊人「流架!」

流架の悲痛な叫びが私たちに突き刺さる
柊人も棗も本当にこれでいいのかという顔をしている

美咲「A!蜜柑を、翼を頼んだぞ!」
「…当たり前!」

わらわらとしている美咲のドッペルゲンガーが風紀隊と交戦している
そのうちの１つ、もしかしたら本体が私に声をかける

風紀隊が私たちに手を伸ばす前に、仲間達が足止めしてくれている

蛍「蜜柑!逃げ切って…必ずまた無事な姿を見せにくるのよ。約束よ!」
私達の去り際に蜜柑に向かって叫ぶ蛍

その声が私にも届く
…必ずまた日常に戻れる事を祈っている

そう願いながら私たちは必死で走る
杏樹のこの足取りからして中等部に向かっている

この道は見覚えのある近道

目線の先では待ち構える風紀隊
その動きを柊人がテレパシーで先読みし、棗がそれに乗じてアリスを使って攻撃していく

息のあった動きに感心していたが、そろそろ走りっぱなしもしんどくなってくる
何とか走れてはいるものの相変わらずアリスは上手く使えない
さらにどんどん足も重くなってきている

まだ呪いが体に少し残っているみたいだった

杏樹も柊人も私をずっと気にしていて気付いているっぽい
さっきから目があう回数が多い

ぎゅっと少しだけ目を強く瞑ると後ろでドサッという人の倒れる音がする
蜜柑「棗っ!」

振り返ると棗が苦しそうに心臓のある位置を手で強く握っている

「ちょ…棗!大丈夫!?」
鳴海「棗君!」

私の焦る声と杏樹の声が重なる

棗「うるせえ、騒ぐな。躓いただけだ」
柊人「…強がるなよ、棗」

棗の言葉に柊人が呆れた声を出す