【学園アリス】MEVIUS Ⅳ (ページ20)

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柊人「俺も棗達と逃げ回ってたんだけど、落ち着いたから殿先輩に送ってもらってたんだ」
殿内「全く散々な目にあったぜ…」

「あはは…お疲れ様」

そういえば殿内先輩に渡すことすっかり忘れてたや
ここで会えて良かった

柊人「先輩はこんなトコにどうして?初等部へ行く道だよ?」
「私は柊人に用があってね。…はい、これ殿内先輩の分も」

持っていた鞄からラッピングしたチョコを2つ取り出す

柊人「くれるの?」
不安そうな目でチョコと私を交互に見る

「大丈夫。何も入ってないよ」
私がそういうと2人とも安心しきっていた

殿内「さんきゅーA」
「先輩にはお世話になってるんで」
殿内「そっかそっかーお兄さんがお世話してるもんなーうん」

しきりに頷いているが私の兄目線で語るのはなんなのだろうか
私に兄弟はいない

柊人「ちょっと殿先輩、A先輩はだめだよ。殿先輩に汚されちゃかわいそう」
殿内「…おいまてこら」
「あっははは!」

柊人が殿内先輩の女癖の事を危惧して庇ってくれたんだろうがとても面白い

「ありがとー柊人」
私は笑いながら柊人の頭を撫でた
全く可愛い後輩だ

殿内先輩はガミガミ怒っているけれど

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別れを告げて私は本部か教師陣の家付近を歩こうと目指した
逃げ回っているのなら生徒が多い校舎や寮にはいないと思ったからだ

その予想は当たったみたいで本部付近まで来ると1人歩いているナルを見つけた

「ナル」
声をかけると私に気づいたようで私の方に振り向いてくれた

鳴海「…もうだいぶバレンタイン騒動は落ち着いたね」
「そうね…どこに隠れていたの?」
鳴海「あー、最初は逃げ回ってたんだけど体調悪くなっちゃって途中からは病院にね
今は良くなったから出てきたんだけど」

自分でもわかるほど顔がこわばっていくのを感じる

鳴海「そんな顔しないで?今は大丈夫だから」

手が私に伸びてきてそっと頭を撫でる

「うん…。…あのねこれを渡したくて探してたの」
そういって最後の一つとなったチョコをナルに渡す

ナルはそっと受け取ってくれた

鳴海「チョコ、いつもありがとう」
「私の本命チョコだからね」

毎年ナルにはチョコをあげていた
それは今年も変わらない

ナルは包装紙を取ると、一口チョコを食べた
鳴海「…おいしい。ありがとうA」
「うん…よかった」

ナルが言ってくれた言葉が胸をじんわりと暖かくさせてくれた

私はそのままナルについていった
今日ぐらいいいよね
どうせすぐまた忙しくなる