【学園アリス】MEVIUS XIII (ページ40)

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専科2年の2月末
もう少しで学園ともさよなら
そんな時期に私は一通の封筒を持って高等部の校舎を走っていた

「おい月城！廊下走るな！」
「ごめん先生！今急いでるの！」

今は注意なんてまともに聞いてられない
杏樹が歌劇団エリアから学園にやってきていて、私は彼に言わなくてはいけないことがある

杏樹は今志貴さんと話をするために中等部にいる筈
私はそこまで行かなければならない
約束をしているとはいえ、待たせる訳にはいかない

瞬間移動の石もないし、とにかく封筒を持って走るしかない

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中等部の方まで走ってくると、花姫殿の入り口の所に佇んでいる杏樹を見つける
「杏樹！」
鳴海「A。…わっ」

思わず杏樹の胸に飛び込んだ
彼は優しく私を抱きとめてくれる

汗を制服の裾で拭いながら、ニッコリと笑った

「アリス学園教員採用試験合格しました！」
鳴海「おめでとう！」

彼は私の言葉を聞くと、間髪入れずにおめでとうの文字をくれる
そしてわしゃわしゃと私の髪を撫でる

封筒を彼に差し出すと、中に入っている通知を取り出す杏樹
書いてある内容を読みながら再び満面の笑みになった

鳴海「まさか本当に合格するとは思わなかったよ。…教員になるって言って2年。やっとここまで来れたね…」
若干涙目になっている杏樹を見て私は笑った

「泣かないでよ。まだここは始まり。先生になってもないんだから」
鳴海「そうだね。これからだよ。…今から始まるんだ」

涙を指で拭うと彼は言った
今から教員生活が始まるのだと

鳴海「卒業まで一ヶ月切ってるし…。本当によくここまで来たね」
「チビの時からもう何年？…13年くらいか。…お世話になりました」
鳴海「まだはやいでしょ」

お辞儀をするとまだ早いと突っ込まれる
…まだ卒業してないからね

改めて抱きしめてくれる杏樹の背に手を回し、ぎゅっとする
耳元で彼は呟いた

鳴海「…A、結婚しよう」
「…うん」

返事をした声は震えていたけど、声にはなった

鳴海「…式も皆呼んでやろう」
「…うん！」

さっきよりも強く返事を返し、私は強く抱きしめた

鳴海「卒業したらすぐAの家行かなきゃ。許してくれるとは思うけど報告しに行かないとね」
「…許してくれると思うよ」
鳴海「そしたら籍をいれよう」
「…うん」

本当に私が幸せになっていいのだろうか
…今が楽しければそれでいいのかもしれない

杏樹が私の隣にいてくれるから
これまでもこれからもずっと一緒だから