【学園アリス】MEVIUS XIII (ページ29)

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鳴海『アリス音楽学校男装総選挙最終審査！「キスシーンで観客を一番ドキドキさせたら優勝」コンテスト！只今より開始いたしま〜す！』

中等部グランドの特設会場から杏樹の声が聞こえてくる
目の前には立て看板が出ていて、それを指さしながら殿内先輩は言った

殿内「おいこれ…翼の妹だよな？」
翼「ん？…はっ！？」

思わず飲んでいたジュースをメガネに向けて吹き出している

柊人「わ、きったねー！」
殿内「ぶわはははっ」

涙を浮かべて腹を抱えて笑っている殿内先輩
人の不幸が楽しいに変わるのだから、相変わらずねじ曲がっている

翼「A知ってたのか！？」
「最終審査に出るとこまでは知ってたけど、まさか最終審査がキスシーンだなんてことは知らなかったよ」
翼「おいおいマジかよ…」

頭を抱えた翼を気の毒そうにみる柊人
柊人「俺も妹が大衆の面前でキスシーンなんて耐えられそうにない…」
「シスコンコンビめ。…いっ！」

思わず足を踏まれ、痛くて声が出る
足を踏むことないのに

「とはいえ私たち会場警備(任務)だし、コンテストは見れないよ」
メガネ「任務は仕方ねーよなー」
柊人「まさかコンテストの爆破予告が来るとか思わないもん」

…音校主催のコンテストを爆破すると先ほど予告があったらしい
多分トーマを狙う輩の仕業だと思うけど、念には念を

杏樹にもメールはしてある
警備は担うから任せて、と

殿内「そろそろ持ち場つくんだろ？」
翼「そうだな。悪りぃな。殿、メガネ！」
殿内「おう！行ってこい！」

差し出された手のひらに私の手のひらを合わせてハイタッチをする
そして私と柊人、翼はそれぞれの持ち場に向かった

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コンテストがもうすぐ始まりそうな頃
持ち場についた私たちの携帯が鳴る

「なに…？」

開くと翼からの警備班全員に向けての一斉メールだった
内容を確認すれば、星ちゃんの相手役のトーマがいつまで経っても来ないんだとか
命を狙われている身だし、何かあったとしか思えない…と

確かに私もその意見に賛成だ
トーマに何かあったとしか思えない

「とにかく私たちは持ち場から動けない…。そのうちトーマ捜索の別任務が当てられると思うけど…」
柊人「話が上に回ってすぐじゃ、対応するにできないってわけか…」

暫く警備をしながら思案していると、携帯が鳴る
今度は電話

…相手は杏樹

電話を取ると、焦ったような杏樹の声が耳に届く